月海夜 5
金色の猫の眼は黒目がちに丸くなっている。鋭さや冷たさを失った瞳の中にジョナサンのひどい顔が映っていた。
「ん……、ジョジョ……、ッ」
背に回されていた手はジョナサンの腰を撫でながら下り、股座を触った。指先にあたる硬さを探り、ディオは手のひらで形を確かめる。
浮き出る血管の筋を爪でこりこりといじれば、ディオは落ち着き無く身じろいだ。
「はぁ……、ん、く、……」
吐息と共に、甘える声が洩れていた。相手を求めて、唇のあわせが薄く開いたり閉じたりを繰り返す。あれ程強気であったディオが、言葉を紡げずにじっとジョナサンを待っていた。
ディオはジョナサンの腕の中に落ちたのだ。肉体を奪い、心を攫って、ディオの全てを手の中に収めた。今、ディオにはジョナサンしか居ない。これは支配だ。
「ディオ……、上手におねだり出来たら、君の欲しがっていたものをぼくはあげたい」
色気の無い言葉で散々ジョナサンに強いていたことを、改めてディオの口から言わせたかった。
こんなに泣かされ、体中を溶かされても、ディオは求めている。それがジョナサンにはたまらなかった。
「ここ、」
ディオは足を開いて、すっかり濡れ淫れている尻肉をかきわけた。ぬちゅ、と粘った音がする。今も愛液はうるおいを保っていた。両手の指の腹で奥まった場所を拡げて、秘口を見せつけた。
「ココ? ……もっととびきりいやらしくお願いしてみて……」
秘部を晒す行為に恥じらいを捨てたディオにとって、焦らされる以上の苦痛はもう無いのだろう。ジョナサンは知っていて、更に意地悪く続けさせた。
「この、………………オシリマ×コに、ジョジョの、太い、オチ×チン、……入れ、て……」
惑う目からじわりと涙を溢れさせて、ディオは今にも消え入りそうな声で言った。
「入れるだけでいい?」
「駄目だ、……入れて、ずぼずぼして、」
「それで?」
「いっぱい奥まできて……奥、突いて、ジョジョ、もう、……ジョジョの、欲しい……ッ」
開いた秘口は赤い媚肉を覗かせていた。とろみのある愛液が、奥から流れてくるのが見える。
お互いの我慢が限界に到達していた。ディオは自身のプライドも何もかも捨て、ジョナサンは紳士性を飛ばした。
ジョナサンは自身を剥きだして、一気に貫いた。
「あくううぅゥゥ……ッ!!!」
最初に挿入した時は乾いた肉の拒みで痛みばかりがあった。入口も奥も、ジョナサンを締め付けて食いちぎろうとする敵意が媚肉から感じられていたのだった。
「ハァ……くッ」
ぎっちりと最奥まで肉棒を突き刺しても、今はどこもかしこもとろけて柔らかい感触に包まれている。最初に入れた時と全くの別人のようだ。一体、この器官のどのあたりから潤いが溢れてくるのだろうか。
あたたかく柔らかな肉に吸いつかれて、ジョナサンは入れただけで果ててしまいそうになった。自身の根元を掴み、快感が過ぎるのを待ち、汗を流した。
「ああッ……、や……んッ」
ディオの足はジョナサンの腰に絡みつき、踵が臀部を押す。指は爪を立てて背の皮膚を引っ掻き、ジョナサンに傷を与えた。
「真面目で、勤勉だった君が……あんなやらしい言葉を知っているなんて意外だな。いかがわしい本なんか読みもしなかったのに……、いや、隠れて読んでいたのかな」
ゆったりと抽送を始め、ジョナサンは語りかけた。ジョースターの邸で共にすごしていた頃、同じスクールに通っていた頃、ジョナサンが知る限りのどんなディオとも、あの様な淫猥な言葉とは結びつかなかった。彼は性欲の欠片も匂わせなかったのだ。
「あく、……ああッ、ン、んうぅっ」
届かないと思っていたジョナサンの独り言に対し、ディオは大きく首を振った。
「読んで、ない?」
こくん、と頷きディオは答えた。
「ン、ん、ふっ、……く、ううッ……」
ちゅくちゅくと、腰の動きに合わせて愛液の粘着音がする。浅いところで細かく揺さぶると、秘穴の入口は益々水音をたてる。
「ああ、そうか……ロンドンで暮らしていたとき……知ったのか……」
ディオがロンドンのどこに住んでいたかを詳しくは聞かなかったし、彼は口にしなかった。父もまたジョナサンには話さなかった。子どもに伝えるべきことでは無かったのかもしれない。
それならば、ディオがいかがわしい言葉を知っていてもおかしくない。誰が彼に教えたのか、……今更嫉妬しても仕方が無いことだった。
「興味のないふりをしていただけだったんだね、……すっかり騙されていたよッ!」
腰を引き寄せて、ズンと勢いよく根元まで突き入れる。割開かれた尻肉が、ジョナサンの腰骨にぶつかってたぷんと波打った。
「ヒッ! アッ!! あっ、あア゛ッ!」
背に立てた爪を食い込ませ、ディオは体の奥からやってくる快感を分散させようと足をじたばたと暴れさせた。
身体が動けば、ディオの秘穴は激しく収縮して、ジョナサンにきつく食らいつく。油断すれば搾り取られてしまいそうになった。
「ウ……ッ、」
熱のたまった媚肉の襞が、ジョナサンを離すまいとしてうねうねと棒の形に合わせてまとわりついている。愛液が溢れる秘部の媚肉は、ぬめぬめとして雄を美味そうにしゃぶっていた。
萎えたままのディオのペニスは、一向に勃ち上がる気配もなく、律動に合わせて控えめにふるふると揺れていた。
だが、ディオは紛れもなく性感で喘いでいる。色めいた嬌声が何よりの証拠だった。
「ヒあ、ん……ッ! ああぅ、……あっ、うッ」
片手で腰を支え、右の手でジョナサンはディオのペニスを刺激してやる。かすかに反応を示したが、だらんと力はなく、硬さを取り戻すことはなかった。
男としての本能を忘れ、穴による悦びに肉を満たしている。ディオは、その秘穴だけで感じていた。まるで女のように、突き入れられる快感を求めて激しく腰を振っている。
「ディオ、もっとやらしいこと言って……聞かせて、……ね?」
従順な雌の身体と化したディオは、ジョナサンの雄の奴隷も同然だった。言葉に従い、ディオははしたない欲求を赤い唇から言い放つ。
「おしりの……ッ、おくぅ、……あうッ、もっと、き、て、……っ、こすって、もっと、ジョジョの、ぉ……ッ!」
望み通りに、奥まで深く突き入れると、開いた口から涎を垂らしてディオは高く喘ぎ、顎を反らせた。
「奥、入ってるよ……ここがイイ?」
「いいッ、もっと、もっと、して、……!ジョジョ、ジョジョのっ、エキス、いっぱい欲しいッ、奥、注いで……ッ!」
一番感じるという、最奥の一点目掛けて乱暴に肉棒は抉りこんでいく。
激しく打ち込む度に、ディオは背を弓なりに反らした。高い鳴き声が上がり、ディオの秘穴は奥から脈動と共に強く締まる。
「あ、アアうぅッゥうう゛ううッ」
どん、とジョナサンの腰に衝撃があった。ディオの踵が振り落とされていた。ジョナサンの身をもっと近くに引き寄せようとディオの足には力が入っていた。
「う、くぅぅううぅぅぅッッ」
背にある爪は傷の道を作りながら必死にしがみついていたが、指の力はだんだんと弱まっていき、やがて腕は床に落ちた。
食いしばった歯も、眉間に寄せられた皺も、美しくディオの顔を彩っている。
果てるその瞬間が一等綺麗だった。
解放される欲が、我慢されればされるほど、高まれば高まるほどに、散らされる一瞬が美しくなる。
男でも、女でも、人でもない。本当の意味での、この世のものとは思えぬ、魔物の魅力に満ち溢れていた。何故この身体が、愛液を分泌させるのか分かった気がした。
人あらざる者、吸血鬼、淫魔、――その存在は性別を超越したものであるのだ。ディオは女を抱き、男も抱く。そして女にも抱かれ、男にも抱かれるのだ……。
人の世界の掟には囚われない自由な性交をするように生まれ変わったその身体なら、人間では有り得ない不思議もディオにとっては進化であるのだろう。
肉体が雌の悦びに飢え、男を求めれば秘穴は交わるために、その穴を潤わせる。ディオが雄として目覚めたならば、きっとペニスはエレクトするに違いない。
萎えた陰茎は依然として、ただぶら下がっているだけだ。ディオはジョナサンに抱かれている。肉体の悦びは、今は秘穴だけのものだった。
ディオの足を外しながら、ジョナサンは身を起こした。肉杭は硬度を保った状態でゆるりと抜けていく。ディオは離れゆく熱を嫌がり、ジョナサンの腕を掴んだ。
「まだ……ッ、……ッ、抜く、なァ……」
「少しの間、我慢だよ」
完全に抜けると、先走りやディオの淫液でジョナサンの肉棒は、しとどに濡れきっていた。下腹部の翳りのブルネットは、ディオの洩れを受けて白っぽい雫を絡みつかせている。
くたくたになって崩れ落ちそうなディオの体は容易く動かせられ、石床の上にうつ伏せに寝かせた。尻だけを高く掲げられると、ディオは期待をしてはぁはぁと息を荒げた。
今の今まで雄を受け入れていた秘部は、赤く媚肉をめくり上がらせている。
自然に閉じてしまう尻たぶを親指でこじ開けて、ひくつく秘穴をジョナサンは覗き込んだ。
「ン、……ジョジョ、ジョジョ……ッ」
窄まった秘口は、ディオの呼吸と同じリズムでぱくぱくと開閉し、小さな穴からは、つう、と淫蜜を流し始めた。
「奥に欲しい?」
「はや、く……ッぅ、奥、きて、……ほし、いぃ、ジョジョォ……!」
「ぼくの知ってるディオの中で一番素直だね……」
ぴたん、とジョナサンはディオの尻の天辺を肉棒で打った。何度か指で弾き、ピタピタと尻肉に打ち付けると、秘穴の奥からは愛液がどっと溢れ出した。
ジョナサンの肉棒もまた、先端から粘液を滲ませて媚肉に焦がれた。
「イッ……!」
突き立てた肉棒は一気に押し込まれず、入口にひたりと当たり、じっくり時間をかけて挿入されていく。
「あっ、ああ……、あっ、あ、クゥッ」
尻肉を両手で掴み、撫でさすりながら飲み込まれていく様をジョナサンは楽しみ、眺めていた。時に、動きを止めて引き戻すと、秘部の赤い肉がめくれていく。
そしてまた再び押し進めていく。ディオは額を床にこすりつけて、拳を握っていた。耐え難い快感が肉体に走ると、分かりやすくディオの背は張った。
「んう、ううッ、ふっ……ヒッ、ぐッ!」
ディオの秘部の奥にある、敏感な部分に到達したようだった。ディオの背が戦慄くのと、ジョナサンの全てが埋まったのは殆ど同時だった。
「はう……ッ! うう……ッ!」
腰から倒れ込みそうになり、ジョナサンは尻肉に手を振り下ろした。
「ひっ」
打擲された尻は、ビクンと大袈裟なほどに上がって、その身を引き締めた。
打たれたことによって緊張が走った総身には力が入った。窄まりもまた、更にジョナサンをぎゅっと銜えこんだ。
「ここが一番奥?」
返答は無い。
頷きの代わりに、媚肉はひくひくとジョナサンの肉杭を食んでいた。
誰にも侵食されたことのない奥地が、ジョナサンの聳立によってこじ開けられる。
そして、ここは誰にも邪魔されはしないし、知られることもない。たどり着けもしない。
ジョナサンの自身は人並み以上であり、ディオの身体を他のものに譲る気もない。最奥にある快楽点を知ったディオであるなら、たとえ誰かのものをここに銜えこんだとしても、きっと満たされやしない。
自分だけだ。ここに入れるのは、ジョナサンだけ。この場所は、ジョナサンの体だけが知っている。
ディオを満たせるのは、ジョナサンだけだ。
「はぁ、う……、くッ」
抜き差しはせずに、腰骨をぴたりと合わせたまま、中をかき回した。
下腹部の体毛が、じゃりじゃりとディオの滑らかな肌に擦りつけられる。
「うう……ッ、んんううッ」
石床を爪で掻き、ディオはいやいやと首を振る。肉体がむず痒さに耐えられなく、逃げようとして尻が左右に動く。
「どうしたいの、自分で動きたい……?」
「んう、くう……っ、ちが、……ッジョジョ……ォ」
金髪を揺らして、辛うじて顔をこちらに向けたディオは、大粒の涙を次々に零し、ジョナサンを甘えた目で見つめた。
「ん? なんだい?」
身を屈めて、顔を近づける。すると、また更に奥まで入っていく気がした。
「あくっ……うッ」
腰は固定され、逃げ場はない。ただ埋められたままでは達せられず、秘部から点される炎によって、体内が灼かれるように熱くなるばかりだった。
「素直に言わなきゃね、上手に強請れるだろ、ディオ」
欲に限りも終わりもない。芽生える欲求は、途切れることなく胸臆から望みを生む。ひとつ叶えられれば、もっと、もっとと欲深になってしまう。
淫らに貶めたい。自分だけを求めて狂わせたい。
「して、ジョジョ……動いて、」
「どんな風に?」
一から十まで言わせたい。ディオの持つ、ジョナサンへの欲を、望みを聞きたかった。
「う、……奥ぅ……」
「うん、奥まで……きてるよね、それから?」
「突いて……ッ、思い切り、強く……」
いいよ、と耳元で答えた。ジョナサンは腰を引き寄せながら、自身をギリギリまで抜き、そしてまた最奥目掛けて激しく押し込んだ。
「ああッ! もっと……もっとぉッ……!!」
喉と背を反らし、ディオは肉の悦びに打ち震えた。
冷たく硬い石床に、ジョナサンの膝は擦れて痛んだが、そんなことに構っていられなかった。
肉食獣の交わりのように荒々しい。恋や愛の、可愛らしい感情が一切無い、目の前の獲物に食らいついて、互いを満たす為だけに、激しく欲望を打ち付け合う。そんな行為だとジョナサンは思った。
そして、それは今の二人を表すには似合いだった。
「ひ、ああッ、あああぁ、ジョジョぉ、……ッ! 奥で、奥で、かき回してっ、して、して……ッ!」
「ディオ、ディオッ……!」
名前を呼ばれるたびに、ジョナサンは切なくなった。その声が、甘い疼きを持っているからだ。
ジョナサンも応えて名を呼ぶ。真実、心の底から愛し合う恋人同士になったようだと、夢を見てしまいそうだった。
跳ねる背に身を合わせて、ジョナサンは手を腰から胸へと回した。
「う、ンッ!あ、ひあ……ッ」
僅かな膨らみを揉み、控えめに実を硬くさせている両の乳首を指の腹で摩ってやる。
「んう、んんうッ! いい……ッ、そこ、しないで、いいッ……!」
脇をしめてジョナサンの手の動きを制止しようと、ディオはもがいた。
「しなくていい? ……気持ち良いって言ってるよ、ほら」
「あくぅッ、あっ、アッ……! ああッ、う」
凹み始めていた乳首を強引に指で摘み上げて、硬くしこらせると、そのまま引っ張った。
深く挿入した肉棒で奥を打ち付けて、肉壁を押し上げる。秘部と胸の同時の刺激は、どちらもディオにとって強烈な快感を齎した。
肉体は、嬉しさを男に伝えんとばかりに、繋がる場所を更に潤していく。
「アッ、ああ! いやだ! うううッ……! あああぁぁ!」
しこった乳首を人差し指で弾く。爪でいじめられるごとに、ディオの乳首は硬く丸くなっていった。
「ぃううッ、しないで、い、やあぁだぁああッ!! ……ン! するなぁ、イヤッ、いやだぁ!」
責められる箇所が増えれば、泣き声は姦しくなったが、ディオの感度は増していた。
「なら、強請ってごらん。お願いしてくれよ、ディオ……何がイヤ?」
やめる気は無かったが、ジョナサンはしつこくディオに問うた。
「あう、うッ! くぅッ……あっ、あっあっ」
口を開こうとする頃合に、ジョナサンは大きく腰をグラインドさせてディオを喘がせた。
「胸のッ……、やッ……うッ、あくッ」
「うん、胸?」
引き伸ばした乳首の硬い部分を摘んで、ジョナサンはディオに覆いかぶさった。
耳元に直接吹きかけられる甘やかなベルベッドボイスに、ディオは頭の中まで犯されていく。
「くっうう、うう〜〜〜っ、あああッ、や、やあ、やう!」
「泣いていちゃ分からないな」
「あうう……っうんんっ、や、やっ、やッ、だ、やだ……ぁッ!」
「乳首だけで、射精出来ていたじゃあないか。もっと弄って、もっといじめてほしいって、言えばいいだろ、ディオ。」
「しな、しないで、やだ、うううッ、だめ、いやだッ、だめ、くる、いやッ、」
ぱちゅぱちゅ、と肉を打つ音と愛液の水音が引切りなしに響いていた。
「このまましてほしいんだろッ!」
凶暴なジョナサンの悪意が、ディオの泣き声に発情していった。
ジョースターの善なる血統の中には、暴力性が秘められていた。驚異の爆発力を持つ、本人ですら自覚のない恐ろしい性であった。ジョナサンは幾度もその力をディオに対し発揮していた。どこでスイッチが押されるか、思い返せば原因には必ずディオが絡んでいた。そして、ディオをいつも泣かせてしまうのだ。
「あ゛あ゛あ゛ああああぁぁああぁぁッッ!!」
一定の調子で抽送を繰り返していたジョナサンが箍を外し、全力で欲を打ち付け始めた。
「くああああああぁあ゛ッ!」
色と悲哀が混じった叫びをあげて、ディオは責め苦に耐え忍んだ。
ディオの体と心に、次々に襲いかかり与えられる刺激は痛みなのか、悦びなのか、そのどちらでもあるのか、ないのか。
「ああ゛ッ、ジョジョ、ジョジョッ……ジョジョぉッ!!!」
答えは出ない。ただ、ジョナサンだけがディオの頭に中にあった。頭の中も、体の中も、ディオの至る所総てをジョナサンが占めている。
言葉はもう出なかった。ディオはひたすらにジョナサンの名前だけを呼び続けた。
「あああッ、ジョジョッ! うあ、ああッ、ジョジョ、ジョ、ジョ……ッ」
「ディオ、ディオ、ディオッ!」
胸を責める指を片方外して、ディオの握られた拳の上に手を被せた。手と手が触れ合うと、不思議と思いが通じ合う気持ちになる。愛なのだろうか、ただの欲であるのか。分からない。ジョナサンはただ、自然とその身を本能に任せた。
「ひう、ううッあああ、や、やあああッ! ジョジョ、あ、アッ、中、なかぁ!」
持て余していたジョナサンのパワーの全部が、ディオの身体に受け入れられていく。慈愛や優しさを通り越した力と力のぶつかり合う雄の性交だった。生殖の意味を持たない交わりを罪と教え込まれたジョナサンにとって、これに罪悪を感じる筈だった。
「ディオォォ……ッ!!」
自身の力と肉体の頑強さを以てすれば、細く柔らかい女たちでは壊れてしまうだろう。こんな風に、乱暴に、そして全力では出来ないのだ。
自身の本能を丸ごと総て受け入れ、尚且互いが満たされるなんて、それはとてつもない幸福だった。決して女では得られない。その相手が、ジョナサンにとって、ディオであるだなんて……。
「ああうううううッ!! ジョジョォ……ッッ!!! してぇ、なかッ、なかで、……ッ!!」
「く、ぅッ……!」
――搾り取られる! ジョナサンは、察して一気に引き抜いた。抜けた秘穴は、ぽっかりと赤い口を開けて、ジョナサンの形を残していた。
いつもより一回りも大きく成長しきった自身を、ディオの背の上で扱き下ろした。
ぐじゅぐじゅと水音が卑猥に立って、ジョナサンは息を殺した。
「う、くゥ……ッ」
「あ、ひ、あついッ……ううっ!」
白の飛沫がディオの背中に散っていく。白濁が落とされたディオの肌が、煙を立てている。
「あぐッ! う、ううっ……熱いぃ……ッ」
微量に波紋をおびた精液が、ディオの肉を焦がしていった。
火傷は、すぐに治っていったが、痕がうっすらと形を残していた。
「ディオ……。」
何度も呼び続けた名を、再び口にする。ディオは拳の力をぬき、ややあってその場に倒れ込んだ。
もう一度、「ジョジョ」と呼んでほしかった。名前を呼んで、振り向いてほしかった。ジョナサンは、凄まじい疲労感と倦怠感に襲われて、その横に膝をつく。
意識がなくなる直前まで、ジョナサンは思っていた。
――もうきっと目覚めはしない。なんの為にここに来たんだ。僕は、死ぬ。殺されるならいい。それもいいか……。
真っ白で輝きを放っていたジョナサンの太陽の精神は、沈みきっていた。
生まれて初めて知った最悪の絶望感に打ち拉がれて、ジョナサンは目を閉じた。
せめて知りたかった。彼の本心を、彼の闇を。