海馬「アテム! 入籍するしかあるまい!!」 アテム「? おう!?」


「所で、海馬。にゅうせきって何だ」

「貴様にも分かるよう簡単に説明するならば、オレ達の関係を法的に認めることだ」

「オレ達の関係……確かに世の中には大勢の決闘者たちがいるな」

「そうだ。法律上の婚姻を結べば、何かと便利でもある。オレには不必要ではあるがな」

「なら何故する」

「…………」

海馬は沈黙した。せざるを得なかった。
言えるはずがなかったのだ。
一般市民たちが語呂合わせの遊びで作った、下らない行事に乗っている事実など!

しかし海馬はこれを好機と取った。もしアテムがこの日を知っているのならば勢いに任せるも可能!
必ず即答する! 自信が海馬にはあった。
結果、アテムは反射的に返事をした。海馬はおもわず己の拳を握りしめていた。


「貴様にはする必要がないなら、何故しようと思ったんだ、海馬」
純粋な疑問を抱くアテムの視線が海馬には痛い。
そもそも奴は、入籍の意すら理解出来ていないのではないか? 今更問い質すのも躊躇われた。

「そ……それは……!」
「それは?」
見上げてくるアテムの紫紺の瞳があまりにも真っ直ぐ過ぎる。
「き……」
「き?」
貴様が、貴様が、貴様が……!!
その後が続かなかった。海馬は自分自身の思考に鳥肌を立てていた。
頭の中にあるのは、非常に歯の浮く台詞だ。

「き、近日中に答えてやろう!」
「……海馬?」

一瞬、あたりの空気が固まったような気がした。時の流れすらも止まるような錯覚。アテムはぷっと吹き出して笑った。
「ハハ、なんだ、それ。海馬も冗談言うんだな?」
「なっ……! 冗談ではない! 近日中と言ったら近日中だ!」
「オレ、お前がまだ十八だってこと忘れてたぜ」
「何だと……?」

アテムは小首を傾げて、にやっと口角を上げた。
「オレは待ってるぜ」

きちんと自分の言葉で相手の目を見て、本当のプロポーズが出来るまで。
「ずっと、な……」


11/22 marry me!

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