七つの罪、その罰について 2

三章・・・十七歳 

「じゃあ、ジョジョ。あとは任せたから、戸締りだけは頼むよ」
「はい、わかりました」
 ぼんやりとした頭の中の靄が晴れていく。聞こえる人の話し声が、遠いような近いような妙な感覚がしていた。ディオは何度目かの覚醒にすっかり慣れきっていたが、それでも体を起こすときのこの一瞬が億劫でならなかった。
「やあ、ディオ。お目覚めかい?」
 三度目に出会うジョナサンは、泥のついたラガーシャツを着替える途中だった。逞しく育った体躯は、日焼けしている。ハーフパンツからのぞく脚は太く、若さが漲っていた。
「ここは……」
「部室さ」
 天井を見上げて、ディオはため息をついた。ここも今までと同じだ。人生を細かく切り分けられ、その冒頭にディオはねじ込ませられている。理由も、説明もつかないが、何となく理解は出来ていた。
「君は練習終わりにちょっと貧血を起こして、落ち着くまでぼくが様子を見ることになったんだ」
「そういうシナリオか?」
 体力において人より劣るわけがないと、ディオは自信を持って言えた。幼少時から鍛え上げてきたものだ。学生の部活動くらいで根を上げるものか。
「そう都合よく解釈してもらって構わないよ」
 ディオが横になっているベンチの開いているスペースにジョナサンは座り込んだ。重みで古びたベンチはぎしぎしと言って斜めになる。
「気分はどうだい?」
 前より広くなった手のひらがディオの額に乗った。ごつい手だと、ディオは思った。
「別に、……どうってことないさ」
 その手を避けてディオは自力で立ち上がろうとしたが、どうやらこの肉体はジョナサンの筋書き通りにさせられているらしい。足に力が入らない。
「ほら、無理しないで」
 ふらついたディオの背をジョナサンは支え持った。暑っ苦しいごつごつとした手が、ディオの体をしっかりと抱く。
「ぼくの肩に寄りかかっていいよ」
 ディオの頭を撫でながら、あやすようにジョナサンはそっと優しく自らのほうへ傾けた。
「ああ……」
 ジョナサンの体ばかりに注目していたが、ディオの身体も同じく成長していた。腕や胸、脚や背に肉がつき、伸びている。手も、骨も、大人と変わりない。急な変化に重さを感じるほどだった。
「意外だな」
 ジョナサンは頭を撫でていた手を下ろしていき、ディオの腰を抱き寄せた。とん、とん、と心音に似たリズムで穏やかに慰めるように叩かれている。それがディオには心地よかった。
「てっきり、また抵抗されるかと思ってたから。ちょっとだけびっくりした」
「おまえが、言っただろ」
 ぽつりとディオは口にした。何だか、またこのまま眠ってしまいそうだった。
「おれは拒めない、と。……だから無駄なことはしない」
「成る程。君らしい考えだ」
 子を褒めるようにジョナサンはディオのこめかみにキスをしてみせた。思わずディオの眉間に皺ができる。それを認めたジョナサンは、ふ、と口元を緩めて笑っていた。
 会話は続かなかった。おかしな空気がふたりを包んでいて、ディオとジョナサンのふたりの心臓を時折怖がらせた。
 沈黙がそうさせているのだと知っていて、口を開こうとするものの、ディオには適切な文句が見つけられず、何度も酸素を飲み込んだ。ジョナサンも同じように感じているのかもしれない。ディオの腰を抱いている手は、じっとりと汗をかいていた。
 暫くして、忘れかけていた感覚の名前をディオは思い出していた。この久しい感情は、緊張と呼ばれるものだった。意識すれば、脈が上がる。ディオはますます動けなくなっていた。
「……ディオ」
 耳元に、ジョナサンは甘く問いかけてくる。三十七度あたりの微熱を帯びた声だった。
「ねえ、キス、してもいい?」
 散々勝手にしてきたくせに、今更それを尋ねるのかとディオは怒りたくなった。しかし、何故怒りを感じるのかと考えを細かく分けて気づいた。自分がそれを求めているから、わざわざこちらを伺うジョナサンの弱気な態度に苛立っていた。
 すると、ディオは意地悪い気分になった。
「駄目だと、言ったら?」
 嘘をつくのがディオは得意だ。この場合、上手いか下手かは問題ではない。
「ん……じゃあ、したくなるように……仕向けるさ」
 ジョナサンはディオの隣に座っていた身を、僅かに後ろにずらした。開いた両足の間にディオの身体を挟むようにもってきて、腰に腕を回した。ジョナサンの胸板がディオの背にぴったりとくっついている。
「お……おい」
 ディオのうなじにジョナサンは鼻先を埋めて、頬を摺り寄せる。気恥ずかしさとむず痒さでディオが身じろげば、ジョナサンは更に腕を引き寄せて肌を密着させるのだった。
ばくんばくんと鳴っている心臓に合わせて、薄いシャツが呼吸をするように上下している。
鼻から洩れる息を押し込めてディオは両手で口周りを塞いだ。
「ディオ?」
「あ……」
 首の後ろにジョナサンは唇をあてて、名を呼ぶ。そこから火が点されるように熱い。
 堪えなければ、とわけも無くディオは依怙地になった。
快楽に身を落とすような下賎な真似は出来ない。それは潔癖であった十代の時分のディオの考えだった。DIOにとってみれば、幼すぎるものでしか無いのだが、時を戻した肉体には相応の思いが宿る。素直になれば楽になれるものを、と頭の奥深くでDIOはため息をついた。
「こんな……場所じゃあ」
 ディオは前かがみになって呟いた。どんなに小さな声でもジョナサンは聞き逃しはしなかった。体をくっつけていると、声の響きも伝わるからだった。
「誰かに見られたい……? 君がそうしたいなら、誰か呼ぼうか?」
 ディオはジョナサンが言い終わるより先に首を振った。理性というものがディオにはあるらしい。むしろ、ずっと挑発的な態度をしているジョナサンが変なのだ。
「お、おまえは嫌じゃあないのかっ?」
 少しだけ首を後ろに向かせてディオは焦って問いかけた。
「ぼくはね、ディオが思うようにしてあげたい」
「何だよ、それ」
「ぼくはそうしたいんだ」
 膝に置かれていたディオの手に、ジョナサンは自分の手を重ねて持った。ディオは息をするのも苦労していた。喉が渇いていた。
「でも……、本当のことを言えば、ぼくは誰かに見られたくはないけどね。それにここでは、君が他の誰かに会うこともないんだ。そろそろ、気づいているかと思うけど」
 そう言われてディオは今まで起きたことを思い返してみた。確かに声は聞いていても、姿を見ていない。目の前に他人は現われていないのだった。
「ああ、だからおまえは平然としていられたのか」
 するとディオの肩から力が抜けた。恐れていたとは自分では認めなかったが、ディオは明らかに落ち着き始めていた。
「なら、いい」
 腰を浮かせて、ディオはジョナサンのほうへ体ごと向けた。跨る形になって向かい合わせになると、先ほどまで強張っていた体が嘘のように軽やかに、そして積極的にジョナサンへと動いた。
「キス、したいんだろ?」
 ディオは、ジョナサンの下唇を自分の親指で押した。ふっくらと弾力のある唇だった。顔に似合わず控えめな大きさのジョナサンの唇が、ディオにはやけに美味そうに見えたのだった。

「じゃあ、するよ?」
 焦らしているつもりなのか、ジョナサンは勿体ぶるようにいちいち尋ねてくる。ディオはもどかしく腰をよじった。
「おれが良いと言ったんだから、いいんだ。はやく、しろよ……」
 自分のほうから迫るのはディオの癪に障る。それではまるで強請っているみたいだからだ。あくまでジョナサンがしたいと頼むから、応えてやっているのだという立場をディオは守りぬきたかった。何を言われようともそこだけは崩したくない。
 ジョナサンのラガーシャツの肩口を掴み、ディオは見下ろす形で待った。どちらも視線を一瞬たりとも外さなかった。
 ゆっくりと確実にジョナサンが近付いてくる。ディオは瞬きもしなかった。瞳の表面は乾いてしまいそうなのに、視界はぼやけてくる。焦点が合わなくて、ジョナサンの顔が滲んで見えた。
「ん……」
 ディオの鼻先にジョナサンの肌があたった。口が塞がっている分、ディオは鼻から思い切り息を吸い込んだ。汗と髪の匂いがしている。ジョナサンの体の匂いが、ディオの中にいっぱいになる。
 厚ぼったいジョナサンの舌が、そろそろとディオの唇を叩いたかと思うと、ぬるりと割り込んできた。
「あ、……む、ぅ」
 一度侵入を許してしまえば、あとは奥まで来るのは簡単だった。ディオはしがみ付くようにジョナサンのシャツを握っていた。ジョナサンも同じく、ディオの背中をしっかりと抱いている。互いの手は、命綱を持つようにきつく握って緩めない。この一時、ふたりは手を離せば死んでしまうのだと錯覚していた。そんな筈など無いと知りながらも、手や腕は震えるほどに力が込められていた。
 唇と唇、舌と舌、手と手が、合わさりあって混じり、ディオは混濁していく自分の意識をジョナサンの中に溶け込ませていった。


四章・・・青年時代

「ん……っ」
 次にディオが目を開けると、あたりは薄暗かった。視界の隅にあるのは手元を照らすだけのランプの明かりだけだった。
 唇が離れると、ディオは腕の中の人物を確かめた。
 また少しだけ時を進めたジョナサンの顔があった。より意思の強そうになった蒼い瞳が、ディオを映し出して愛しげに細められた。
「ディオ……」
 名前を呼ばれるだけでディオは泣き出してしまいそうだった。辛くない、悲しくない、苦しくない。けれど、そのどれもにも当てはまるような痛みが、ジョナサンの呼ぶ声に反応してディオは唇を噛んだ。
「今度は、どういった場面(シーン)なんだ?」
 ディオはジョナサンに物語のあらすじでも聞くかのような口ぶりで尋ねた。
「見覚えあるだろう?」
 ジョナサンが周囲を眺めるので、ディオも暗がりの中を見てみた。紙やインクに混じって、煙草のにおいがしている。窓の外からは真夜中の静けさが漂ってきている。
「邸の……、図書室か」
 ジョナサンの見た目が二十歳前後であることからディオは察した。あのころ、ジョナサンは深夜まで図書室に篭って石仮面について調べていたのだった。最早ディオには、そんなことは至極どうでもいいことだった。それよりも大事なのは身の欲だった。
「なあ、続きは……?」
 部室にいたときと同じように、ディオはジョナサンの膝に跨って乗っかっている。尻を少し移動させると、ジョナサンの太股がぴくりとひくついた。
「キスの先は?」
 ディオはジョナサンの頬を撫でたり、髪の中に手を入れたりして聞いた。大胆に誘う手つきが自分でしているとはディオには信じられないくらいだ。妖艶に、炎のように揺らめいて指がジョナサンを蠱惑している。
「何をしてほしいの?」
 ところが、今度はジョナサンが意地悪になっていた。気に入らない返答に思わずディオは目つきをきつくさせた。
「フン。余裕があるふりをしたってなあ、無駄なんだよ」
 二人がいるのは、背もたれの高いソファーで、長身のジョナサンとディオが座っても十分なゆとりのある大きさだった。ジョナサンの顔を囲うようにディオは手を背もたれにつかせて、睨みをきかせた。深く腰をかけたジョナサンは、顎をしゃくって見せた。
 ナイトガウンの厚みのある布地の中でも、ジョナサンの下腹部が主張しているのはディオには丸分かりだった。腰のあたりをぴたりとつけていたのだから、仕方が無い。しかし、ジョナサンだけがそうなっているわけでもない。
「君だって、そうだろう?」
 ジョナサンは組んでいた腕を外すと、ディオのガウンの腰紐を解いた。下に着ているのは薄い生地の寝巻きが一枚だけだ。明かりで照らし出されれば、生肌が透けてしまいそうだった。
 感付いたジョナサンは机の端に追いやられていたランプを手に取った。そして、その明かりをディオと自分の体の間に持ってくる。
「ね、やっぱり、そうだ」
 胸の辺りに影が出来ていて、つんと起った乳首を指摘され、ディオはガウンの合わせを閉じた。
「こっちも」
 ランプを持っていた手が下がっていき、ジョナサンは開かれている腿を撫でながら、下半身を照らした。
 両足をふしだらに左右に割っているため、ガウンの上を閉じても足の部分までは隠しきれなかった。
「あ……ッ」
「ディオも、ドキドキしてるんだ」
 布地を押し上げている箇所をジョナサンは指の先で形をなぞっていった。触れられれば、びくんびくんと正直に脈打って、更に首を持ち上げてしまう。ディオはやけに感じやすい素直な肉体に恥らっていた。
「ぼくも、同じだよ。ずっとドキドキしてる。ディオ、ここ……」
 いざなわれた手がジョナサンの足の付け根に運ばれて、ディオは発熱する根源に触れた。
「あ……う」
 思っていたよりもずっと熱い。想像よりももっと大きい。予想よりも、うんと硬い。ディオは足の指を握りこめた。そして、ジョナサンの顔と下腹部とを交互に見返した。
「み、見せろよ」
 触ったままでディオはジョナサンに命じた。頷いたジョナサンは、ガウンの前を開いて、寝巻きの裾を捲り上げた。
現れたジョナサンのモノは、ぐんと上を向いていた。からからだった喉に、ディオはごくんと唾を飲み込む。
「ぼくだけじゃあ、恥ずかしいな。ディオも脱いでくれなくちゃ」
「う、……ん、分かった……」
 ランプを机の上に置きなおして、ジョナサンはディオの腿から寝巻きを捲くっていく。するすると白い腿が露にされていった。
「あ、……や」
 すんでのところで、ディオがジョナサンの手首をつかむ。腰元に集まる熱はじくじくとディオを炙っていた。
「大丈夫」
 ジョナサンの低音の声は不思議と安心感をディオに与えた。言葉が持つ力だけではなく、声自体がそうさせてくれたのだった。
 惑わされているのは、このDIOなのか……、とディオは自分の中にまだ意識としてあるDIOを呼び覚ます。しかし、現実と幻想の境が曖昧になり始めてしまっていて、ディオはDIOの思考をすぐに手放してしまった。目の前にある出来事こそが、ディオにとっての世界であればいい、と願うようになっていた。
 さらさらとした肌触りのディオの寝巻きが、覆っていた下半身からやさしく剥ぎ取られた。
 震える性器が、ジョナサンには可哀想に映った。はやく慰めてあげたいと心から思っていた。
「……ディオ、大丈夫だから……、体の力をぬいて」
 ジョナサンはディオの肩をさすり、それから額と額をつけて、頬や瞼に何度も口付けをした。そうしている間も、肉体を炙る火は、ディオを追い詰めていく。
「あ……、ン……そんなの、そんなの、いい、……いいっ」
 そう言いつつディオはジョナサンに抱きついて、首筋にがぶりと噛み付いた。痕は、キスマークと言うには少々過ぎた激しさがあった。
 ジョナサンの汗や皮膚の味は、ディオには無上の佳味であった。甘いような、塩辛いような味が舌にある。
「はあ……あ……ン」
 ディオは息を荒げながら、ジョナサンの肌の上を舐めていく。指先は冷たいのに、ディオの体内は焼け爛れてしまうほどに熱い。行き場所を求めて、ただひたすらにジョナサンの体を探る。
「はやくう、もう、だめだ……ッ」
 頑なだった精神が一旦溶かせられると、極端から極端へと走る。ディオは身をくねらせて、涙を湛えた瞳をジョナサンに向けた。
 そしてもう一度、ジョナサンはディオへ口付けをしてやった。軽く上辺にふれるだけの唇同士が何度も食み合って、ちゅっ、ちゅっとした可愛らしいリップ音を立てていく。
「ディオ……ン、ディオ……ッ!」
 唇が音を立てて離れる度、ジョナサンはディオを呼んだ。掠れるような声色が、口付けを重ねていけばいくほど、だんだんと力強くなっていった。思いを伝えたくて、抱きしめる腕もまた強くなるのだった。
「ん、ジョジョ……、じょ、じょぉ」
 涎れの糸が二人の唇を伝った。つう、と銀糸がディオの顎に垂れていく。延々と続いていた唇戯をやめて、ジョナサンは顔を上げる。ディオの汚れた口周りを、そっと指先で拭い、微笑みかける。眼差しは、驚くほど穏やかで美しい。ディオは、ぼんやりとその視線を一身に受けるのだった。
「お漏らししたみたいに、びっしょりになっちゃったね」
 腹にまとわりついていた薄布はぐずぐずに濡れてしまっていた。ふたりの汗と、我慢の証拠が寝巻きを染みだらけにしている。キスだけで、これほどにも感じるものだろうか。相手が、この男だからか? とディオは自分自身に問う。
 なら、ジョナサンもそうなんだろうか……。ディオは、ジョナサンに自分と同じ思いを持っていることを望んでいた。
 紛れも無く弱さであると、DIOなら叱咤するだろう。けれど、ディオには、もうDIOの怒りは聞こえない。
「脱ぐ……」
 濡れた寝巻きを摘み、ジョナサンは口角を上げるので、ディオはいやらしい気分と恥ずかしさに耐え切れなくなった。そして寝巻きの裾を引っ張って、ジョナサンから取ってやった。
だが、その手をジョナサンは止めるのだった。
「ここで裸になったら寒いだろう? 風邪をひいてしまうよ」
「構うものか……、関係ない」
 疼く体を持て余されて、ディオは急いて言った。その間も、じんじんと性器が身を硬くしては訴えてくる。その欲望を解き放たなければ、狂ってしまいそうだ。
「おまえが……おれを暖めていればいいんだ……なあ、これで」
 ジョナサンの肉棒のシャフトをディオは手の甲で擦って、囁いた。びきびきと立った筋の感触がディオの手にとれた。脈が打たれるのも分かるほどだった。
「これ、で? どんな風に……?」
 積極的に愛撫しているディオの手を取って、ジョナサンはもっとしっかり自身を握りこませた。雄肉はしっとりとして、熱く身を擡げている。
「うぅ……」
 挑発してくるジョナサンの目つきに、ディオは汗を吹き出して言葉を詰まらせる。そして、無理やりに握らせた手で、上下に扱き始める。
 先走り液が滲んだ亀頭部から、どっしりと逞しく育った根元まで、素早く扱き上げる。充分に硬く大きくさせているものが、手が動かされればまだ膨らんでいくのだった。
「はぁ、ぅ……」
「ん……、ディオの手、冷たくて気持ち、良いよ……」
 冷えた指先が躊躇いがちに肉棒に寄り添われられると、ジョナサンはぞわりとした快感が背筋を駆け上がっていくのを感じた。
 男の感じ入った甘ったるい低い声に、自然とディオは腰を揺らした。ディオの肉欲自身は放っておかれているのに、ジョナサンの反応を見ているだけでも、鼻にかかった喘ぎがこぼれた。
「ディオ、どうされたい? ぼくの……」
 卑猥に動いた唇が、猥褻な単語をディオの耳に直接届けた。ジョナサンが言うからこそ、破壊力がある。そして、そのジョナサンはディオにもその言葉を言わせようとして、煽ったのだった。
「ジョ……ジョの、おち×ぽで、ディオの……おち×ち×、あっためて……」
 御強請りとなると、途端に言動が幼くなった。言葉の濫りがわしさよりも、自分がそうした口調になってしまったことのほうが、ディオには辱めとなっていた。

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