ずるずると愛し合ったって仕方ないだろう、こんな意味のない関係 3
「ん……?」三杯目を飲み終わり、ジョナサンのグラスはまた空になった。
「ふあ、んッ……」
今度は、ジョナサンは新しい器から酒を飲んでいた。
「ん、んん、あっ、」
ディオの赤い口の中に入り込んでいった酒を、ジョナサンは充血した唇を舌で割って、そこから溜まった酒を少しずつ自らの口に運んでいた。
「んう……っ」
眼前のディオの顔は手にすれば小さくて、ジョナサンの手にもすっぽり収まっていた。
「ふ、あ……、ジョ、ジョ……?」
「おいしい、ディオのお酒、すごく美味しいよ……、もっと飲みたい、もっと」
「ん、んくっ」
ディオの頭を上に向かせて、瓶から口の中へゆっくり注ぎ込み、ジョナサンは唇の横から流れる酒をすすった。
ディオの身はふらついて、その瞳はすっかりとろけていた。椅子から崩れ落ちそうになったディオの体を、ジョナサンは片手で支える。想像よりも軽い総身は、ぐったりとジョナサンの腕に抱かれた。
「ジョジョ……もう、いい、酒、いらない……も、寝る、から」
力の入らない手でディオはジョナサンの胸を押し、覚束無い足取りでベッドへ向かった。
「ほら、……おまえもっ、もう、寝るんだ。来いっ」
ディオは、ぼんやりとしながらも、ジョナサンを押してベッドに連れていき、布団の上に倒れこんだ。
「はぁ、……あつい、あつうい」
ディオは寝巻きを煩わしげにまくり上げて、乱れたアルコール臭のする息を吐き出した。ジョナサンは、初めて目にする普段服に隠されているディオの生足に釘付けになっていた。
「ジョジョ、これ、……これぇ、脱ぐ」
「う、……うん」
至って真面目で品行方正な、ジョナサンの見本となる兄としての姿しか見せたことのないディオが、ふしだらに寝転んで、年下のジョナサンに甘える口調をするなんて、これは酒による幻覚ではないかとジョナサンは驚くしかない。
「んん……、はやくう、脱がせろお」
「うん。わかった、わかった……」
寝巻きのあわせにジョナサンは手をかける。留められたボタンを外して、胸のまえをひろげると、真っ白な雪肌は、薄く色づいていた。
「……きれいだ……」
寝巻きの下には何もつけていない。ボタンを全て外して布を広げれば、ディオの白い体が露わになった。
「なん、だって……?」
ディオは、ジョナサンのつぶやきを逃さなかった。そして、長い指をジョナサンの唇にあてる。
「この、ディオに、何て言った……?」
「綺麗だ、ディオ、すごく綺麗……」
「……フフ、もっと、もっと、言えよ……、な、ジョジョ……」
「綺麗だよ、ディオは綺麗だ。顔も、体も、全部、きれい」
ジョナサンは、胸の苦しみと同じくらい、腹の下が切なくなった。また、あの胸の奥のさわれない所がむずむずする。
「ディオ、ぼく……、ぼくは……」
もう一度、ジョナサンはディオに口付ける。
ディオに、頬への親愛のキスは何度もしていたし、ディオもジョナサンに挨拶で何度もしてくれていた。
唇にするキスは、誰のためにあるものか、ジョナサンには分からなかった。
今はただ、したかった。ディオの、赤い唇を吸いたい、舐めたい。それだけが、心を占めた。
口づけが終われば、すぐに、またもう一度したくなった。息を吸う為だけに唇を離し、一瞬の呼吸がすめば、再びディオの唇に吸い付いた。
「ん、んう、ふっ……じょ、ジョオ、あ、ああ……っ」
「ディオ……、んっ、ディオ……ッ!」
何度も何度も、名前を呼んだ。唇が離れるその度に名前を呼び合った。
ジョジョ、と言われると、ジョナサンはもっと体の芯が苦しくなった。痛みと辛さは、ディオが自分の名前を呼ぶ毎に増大していった。
それから思う存分、唇を貪りあったのち、ジョナサンはディオの体の上に跨って、胸に口付けはじめた。
「んっ」
声があがれば、思わず頭を上げてジョナサンはディオの顔を見る。そして、また恐る恐るディオの胸に舌を伸ばした。
「アッ……!」
薄桃色に膨らんでいるディオの乳首を、ジョナサンは誘われるように口に含んで、片方を吸って、もう片方は人差し指で擦っていた。指や口の中でくりくりと回すと、乳首は丸く固くなっていく。
「んあ……」
眉根を寄せるディオの顔に汗が浮かんで、唇が辛そうに震えているのをジョナサンは見て、可哀想だと思う。
「ディオ……、痛い?」
ジョナサンは、快楽の表情を理解していなかった。ディオの嬌声も、痛みから上げられる声なのだと思い違いをしていた。
上半身を離して、ジョナサンはディオを見下ろした。ディオは膝を立てて震わせ、足は閉じて腿をすり合わせていた。妙なその動きに、ジョナサンは足の付け根をよく見てみる。
ディオは足の間に自分の手を入れて、膨らんだ性器をいじくっていた。
「あ……、これ……、大きくなってる?」
血は赤く集まって、ディオの性器はピンと勃っていた。先端からは、白っぽいぬるぬるした液体が今にもこぼれそうに小さな吹き出し口から溢れさせていた。
「ディオ、大丈夫?」
「ん、……く、う……」
虚ろになった目はジョナサンを涙目で映して、ディオは甘く呼吸を繰り返した。
「撫でれば、いいのかな?」
腫れ上がったように見えるそこを、そおっと優しく手の平で撫でてやった。
「あ、う……っ、ジョジョ……ッ」
「あっ、痛かった? ごめんね、もうしないから」
苦しげに名前を呼ばれて、ジョナサンはディオの陰部から手を離した。
「ん、ふ……っ、ああ、」
焦れったい中途半端な愛撫をうけて、ディオは堪えきれずに、腰を浮かせながら自分のものを握って、指を素早く動かした。
「ん、や……あっ、んっ!」
「ディ……ディオ、だめだよ、そんなことしちゃ!」
とろり、とろりと、先走り液は流れて、すべりのよくなったペニスをディオは更に扱きあげていく。ジョナサンは、ひたすらに見入るしかなかった。
「あ、ううっ、……ンんっ!!」
「ディオ……!」
ディオのあいている片手をジョナサンは握っていた。ディオの指はジョナサンの手に応えて、絶頂の瞬間、強く握り返したのだった。
艶姿は、ジョナサンの心と身体の男の本能を強引に呼び起こしていった。
腹の下が痛くて、ジョナサンは、怖がりながらも寝巻きをまくり上げてみた。
そこは、じんじんと熱く昂ぶっていた。ジョナサンは自身の肉体の変化に驚き、そして動揺した。
「これ、おんなじ……?」
先ほど見てしまったディオのもののように、ペニスは上を向いて、固く腫れあがっている。
「ディ、ディオ……っ、ねぇ、これ、どうしたらいいの……」
そこはあまりにも痛そうで、ジョナサンは怯えて自分の手では自身のものを触れなかった。
「ディオ、ねぇ、寝ないでよお……」
ぼんやりと仰向けに横になるディオに覆いかぶさり、ジョナサンは首に抱きついて、幼いキスをディオの頬やまぶたにしていった。
「んっ、ん……っ」
ディオは、ジョナサンの頭を優しく招き抱いて、自らの唇を差し出した。
正気を失い、ほとんど酩酊状態にも関わらず、ディオの身体はジョナサンの拙い愛撫に反応して、興奮させられていた。
「ん、ンウウウ……、あ、う」
舌を伸ばして、ディオはジョナサンの腔内に潜り込んでいった。くちゅ、ちゅく、といやらしい水音をたてて、ジョナサンの引っ込んだ舌を口の中に誘い込んで、可愛がってやった。
「んく、でぃ、お……っ」
身体の真ん中から骨が溶けていってしまうくらい、ジョナサンはディオの口づけに体の力を奪われていった。
しがみついて、ディオの背に手を回すと、ジョナサンは股の間にある膨らみをディオの腹にこすりつけていた。
「何、これ……ディオ……、ぼく、くちが、変になっちゃうよお」
「んっ、……これはな、大人の、キスだ……」
大人というキーワードに、ジョナサンはどきりとして、身をこわばらせた。
たとえば、父親は何かにつけて「大人になってから」とか、大人だけのものであると、強調してジョナサンを制約させる。大人という言葉を盾に、のけ者にされているような寂しさと、不愉快さがあった。
だけど、ディオはそういった大人の世界へとジョナサンを連れ出してくれる。少年の年頃にとっては、本当はまだ自分がそこに行ってはいけないのではないかという、背徳感がある。だが、いけないと思えば思うほど余計にジョナサンの興味はそそられた。
「ん、んっ、こう? ディオ……これで、いい……?」
舌を入れられたのを真似て、ディオの口にジョナサンは入り込んでいく。ぬるりとした感触のディオの口の中は、あたたかく唇だけの触れ合いより一層頭がしびれる心地よさがあった。
「ふ、……んム、そう、ゆっくり、……あまり、がっつくなよな……」
夢中になって、ジョナサンが口を押し付けていると、ディオはジョナサンの耳をつねって引っ張り、動きを止めさせる。
「だって、だって、ディオ……ぼく、くるしくて、もう……っ」
「ん……? なんだ、おまえ……ああ、そうか」
寝巻きの裾を掴んで、下腹部を押さえ込んでいるジョナサンは泣き出す手前の顔をしている。ディオは妖しく笑って聞いてきた。
「なぁ、どうしたい? ジョジョ」
「わかっ、わかんない……っ」
今にも大きな瞳からは涙が流れそうだった。ジョナサンは酒だけの所為じゃなく、頬や耳を赤らめて、ディオに切なく縋った。
「分からないなら、ぼくには何も出来ないなァ……」
ディオは足の指で器用にジョナサンの寝巻きの裾を挟んで、股座の下までまくりあげる。
「く、う……っ、ディオ……っ」
「んん? どうしてここが苦しいか、分からないのか?」
「わかんないよ、……ここ、痛い……っ」
「今まで、『こうなった』ことないのか?」
「ないっ……」
切り揃えられたディオの足の爪が、ジョナサンのヒクついて布を持ち上げているペニスの表面をなぞった。
「ん……っ!」
「へぇ、年のわりに、随分とでかいじゃあないか……」
ディオは足の親指で、ジョナサンの天辺を腹側へグニグニと押してやった。刺激に耐えきれずジョナサン自身は、もっと大きく膨らんでしまった。
「こんな、おっきいの、……ぼく、恥ずかしいよ……っ!」
「ふ、フフっ……あは、アハハハッ!」
「ほらっ! おかしいんだろっ!」
ディオは自分の腹に手をおいて、くすくすと笑った。ジョナサンは不服だと顔を横に向けて、ますます頬を赤くして口を曲げた。
「おかしくなんてない、立派なものさ。そのうち分かるようになる」
「『大人』になったら、とか言うんだろ?」
どうせ、とジョナサンはむすっと仏頂面をしてみせた。感情を隠しきれない素直さが子供っぽいと言われる所以であった。どれほど体つきが大人並みに育っていたとしても、心はまだ十二なのだから仕方がない態度だった。
「ふふっ、なら今、教えてやろうか?」
口調こそ戻りつつあったが、ディオはまだ酔っている。酔っているからこそ、正常な彼からは思いもつかない大胆な行動に出る。
「何故ここが大きいほうが良いのか、答えはひとつだよ、ジョジョ……」
両足でジョナサンの下半身を挟んで抱き寄せて、ディオは胸の中にジョナサンの頭を引き寄せる。
そして、そっと耳たぶに唇をそえて、腰に響く甘く落ち着いた声でジョナサンに言い聞かせた。
「セックスのとき、相手が悦ぶからさ……」
ジョナサンの股間から背筋に、小さな雷が駆け上っていった。頭まで辿りついた痺れは、頭の中を白くさせた。そして、真っ白な思考にはディオへの欲望だけがジョナサンに残っていた。
「じゃあ、ディオは……、これ、うれしい?」
「ぼくは男だ、嬉しいわけ無いだろ。セックスは女の子としろよ」
「なんで? ……ぼく、ディオを喜ばせたいよ」
『セックス』、と言われて性行為を結び付けられなかったジョナサンでも、何かとてもいやらしくて、いけないことなのだとディオの色っぽさから感じ取っていた。
性への欲望を言葉として理解出来ていなくても、ディオの肉体や、色香によって、ジョナサンの男の本能は完全な形で目覚めてしまった。
「ぼくと……したいのか?」
「よく、分からないけど、出来るなら……したい」
「ンッ!」
何をどうしていいか分からないと言いながら、ジョナサンはそそり立った自身をディオの開いた足の間に擦り付けていた。窄まりが奥で、きゅんと疼いて、ディオは甘ったるい嬌声をあげてしまう。
「ディオの、その声ってかわいいな」
痛がっていないと知れば、ジョナサンはもっと甘い声を聞きたくなった。普段の低く落ち着いた調子のディオの声とまるで別人であった。悲鳴じみているのに、どこか嬉しそうな喘ぎは、よりディオを艶めいて見せる。
「こう、すると……っ、んっ、なんか、変な感じがする」
ぬち、ぬちゅ、とジョナサンは濡れた先端をディオの割開いた尻肉で擦って、快感を得ていた。ディオの両の足を持って、行為の真似事をして腰を振った。
「んふ、……んっ……ッ!」
「ディオ、ね、こう?」
「ふ……っ、おまえ……っ、うっ……本当は……わかって……っ」
固いもので敏感な器官を擦られると、ディオは口を手でおさえて、声を漏らすまいと耐えた。
秘口はジョナサンの出したぬるつきで濡らされて、窄まりはむずむずと蠢く。
秘孔の下部分からディオの肉棒まで、ジョナサンは欲望自身をなすりつけて、腰を大きく動かす。
「はぁ、あ……っ、あ、う……っ」
止めさせようと、ディオはジョナサンの両肩を押し出そうとしたが、抗えない快感に脱力した腕では、びくともしなかった。
「こう……? これでいいの? ……はぁ……っ」
ジョナサンはディオの膕を一層抱えて、ディオの身を折り畳んで、顔を近づけた。
手で隠されている下には、肌は汗ばんで桃色に染まって、唇は赤赤と開き、中の舌はジョナサンを誘う動きでちらちらとのぞいている。
「んっ! ……ふ、ううっ……」
体格の差があるので、ジョナサンは懸命に首と身を伸ばして、ディオに口付けた。息苦しいディオにとって、余計で強引な口づけは腹立たしかった。キスに怒り、首をふって唇を離す。
「やめ、ろ……っ!」
叱られたと思い、ジョナサンは膝の手を抜いて起き上がった。
「ご、ごめんなさい!」
間抜けに下半身を露出してジョナサンは丸い目を見開いて、その場にへたりこんだ。
「……ちっ、発情期の犬か……」
ディオは、聞こえない程度の大きさで舌打ちをすると、本性を少し露呈させてしまい、すぐに口を噤んだ。
「ごめんなさい。ぼく……、なんか、体が勝手に。なんか、変になっちゃって……」
泣かれては面倒だとディオは考えた。だがそれより、この収まりそうもない疼きをどう処理すべきか、という問題の方が重要だった。
「手を出せ」
言われてジョナサンは大人しく、右手を出す。間違いを起こして叱られるとき、いつも右の手の甲に鞭が振るわれる。きっと仕置されるのだと、恐れてジョナサンは目を瞑った。
ディオの熱っぽい手に手を取られるのが、ジョナサンは感触で知った。
力のない人差し指と中指を掴まれる。一体いつになったら、ディオはぶつのだろう。ジョナサンはそろそろと片目を開いて様子を窺った。
「わっ、わあ!」
ディオは指に舌を絡めて、爪先を舐めると、二本の指を根元まで口の奥に運んでいった。
舌は奇妙に動いて、ジョナサンの指の股や腹に唾液をたっぷり含んで、舐めしゃぶる。くすぐったさでジョナサンは逃げようとしたが、自分の指を舐めるディオの、伏し目に気をとられて、機会を逃した。
「ディオ……なんで……っ!」
不思議と汚いなどとはジョナサンは思わなかったが、かえってディオの口を汚してしまうのではと申し訳なくなった。
昼間に外で遊び、土や草にまみれるジョナサンの手や指が、ディオのあの綺麗な口の中に入っていいものだろうか。それとも、これがディオなりの仕置なのだろうか。ジョナサンは、居た堪れなくなった。
ふやけてしまうのでは、と思えるくらい長い時間、ディオはジョナサンの指を丹念に舐め尽くした。
「その指を、ジョジョ、ここだ……」
ディオに導かれて、ジョナサンはよく濡らされた右手を足の間の奥に触れる。
「え、……あ、」
ジョナサンの手首を掴んだディオは、自らの尻肉を割り、秘孔の入口を開いた。
「あ、……んん、そう、少しずつ……んっ」
まず中指の先が、めり込んだ。
「ディ……ディオッ、ここ、だって、……お尻だよ……」
性行為、ましてや女性器を見たことの無いジョナサンでも、尻の穴に指を入れることが異常な行動だと流石に分かった。変だと、おかしいことなのだと、思っていても下半身はディオの媚態に勝てずに力強く反応した。
「ああ、う……っ!」
中指は、柔肉の滑りで根元まで簡単に入ってしまった。
「あ、ディオ! ……痛かった?」
今までの声とは違って、呻きに似たものを聞いて、ジョナサンは狼狽えて涙目になりながらディオを窺った。
「んん、はぁ……あ、……平気……っだ、もう、人差し指も、入れろよ……っ」
「うん……」
ディオはシーツに顔を深く押し付けて、両手は布団を握りしめる。痛みに堪えて、身を振り、腰を捩らせる。
辛そうな声は、ジョナサンをどんどん不安にさせていった。
「あ、ヒ……ア!」
「もう、やめよう!? なんでこんなこと、しなきゃいけないんだ」
「ヤ、やあっ、ん、やあっ……指、や、や……ッ!」
完全に入った二本の指を抜こうとして、ジョナサンが指を動かした。
すると声高に、ディオは良さそうなときの甘い声をジョナサンに聞かせた。
「え、……な、……ディオ?」
引き止めるかのように、秘口はびくびくと指を締め付けた。
「あ、……ん、せっかく入ったんだ……っ、指で、う、中、混ぜて、……あ、ああ」
視線と台詞でディオは懇願する。ここでやめてしまえる程、ジョナサンに理性はなかった。
抜けかかった指をまた奥までゆっくり差し入れると、秘口は少し力を緩めていった。
「ふうっ……、うう、んっ、あ、やあ、やっ、ジョジョっ、ジョジョッ!」
甘い可愛い声の間に自分の名前が呼ばれると、ジョナサンは、知らずに股間に手を伸ばして、ぎゅっと強く抑え込んだ。尿意を我慢するように、下半身に力を入れて勃ち上がった肉棒の根元を掴んで、出るな出るなと念じた。
ジョナサン本人には何が出るかは分からなかったが、とにかくディオの顔や様子を見ていると、おちんちんの先からおしっこのような水が吹き出しそうになる重さを感じるのだった。
くちゃくちゃ、ちゅくちゅくと粘着質な音が引切りなしに、ディオの穴とジョナサンの指から発せられていく。
乾いた薬指も、ディオに命ぜられなくともジョナサンは秘孔に突っ込んだ。指自体を濡らさずとも、秘孔は十分に濡れ乱れている。
「あっ、ああ、ん……ふっ、う……んんぅ」
ディオは膝を立てて脚を左右に開いていた。脚の間にジョナサンは入って座り込み、指を出し入れしていた。ディオを喘がせることを楽しみ、みだらな遊びにのめり込んでいく。慣れてきた頃には、陰部以外の様子を眺める余裕すらジョナサンにはあった。
「はあっ、うう……っ!」
時折、ディオは顎をそらして、かたく足の指でシーツを握った。その瞬間が訪れると、媚肉の中の指が締められていくのを知った。
「あふ……、んん……あ、もう、もう、いいっ、指、ぬい、……アッ」
「えっ……まだしていたいよ」
急に終わりを告げられて、まだまだ遊んでいたいジョナサンは、ディオの腰を掴んで指を最奥まで入れ込んだ。どこまで広がっていくのか、試したくなる柔らかさがある。
「ちが……っ、あ、あああっ!」
「だって、もっとディオのかわいい声聞いていたいよ。ディオも、こうやって、すると」
――じゅっぽ、じゅぽッ、ぎゅぽ、にゅぽッ!
ジョナサンは激しく指を出し入れして、そして、中で指を軽く折り曲げて、媚肉を掻き毟った。三本の指が体内でばらばらに動いて、好き勝手に暴れる。
「ンンンウウウッ、ひや、あアッ!」
「嬉しいって、言ってる!」
「やア゛ッ、ん、んッ! ああッ! いい、いいんだァッ、もう、しないでェ……ッ!」
「だめ、ぼくは嫌だ……、ディオ……ッ」
「ふうううッ、んんんぅぅ、……ッ! いい、ぬいてッ、抜けよおっ!!」
ディオの頬に涙が流れる。ジョナサンは指の動きを止めて、下唇を噛んだ。
「なんで? 嬉しくなかった……?」
誰かを泣かせたことなんて、ジョナサンは生涯で経験したことがない。それも年上の男の人に、大粒の涙を流させてしまうとは。ジョナサンは、自分がどれほど罪深い行いをしてしまったのかと、心が暗く重くなった。
「分かった。指、抜くから」
時間をかけて指を一本一本抜いていき、ジョナサンはディオの頬に流れた涙を唇で掬い取った。舌に塩からい味が残った。
「だから、泣かないで、ディオ……」
「ん、……、ジョジョ、これは、悲しいからとか、痛いから泣いているんじゃあないぜ……」
ディオは穏やかに言った。そして、ジョナサンの髪を撫でて慰めてやり、その目を見つめた。相変わらずジョナサンは、眉を下げて、瞳を潤ませていた。
「気持ちが良くなっても、涙は自然と出る」
「気持ち、良い……?」
「だから、おまえも泣いてしまうな」
ディオは、ジョナサンのへその下から、生えかけの陰毛をさわさわと手の平で撫で、下腹部へ手を持っていく。
「あ……!」
ジョナサンの強張りの裏筋を指先で撫で上げて、支え持った。
「大人になりたいだろ?」
ごくん、とジョナサンは生唾を飲み込んだ。自身の先は、ディオの生肌に触れ合っている。その部分を、ジョナサンは覗き込んだ。
「このディオが、おまえを……」
「あ、ああ……ッ!」
自身の先端が、熱い肉に包まれていく。
「男にして、やる……ッ!」
ディオは、ジョナサンの腰に足を絡ませて、踵で臀部を押して体を抱き寄せた。勢いでジョナサンはディオの胸に顔を落として、体の一部がずぶずぶと入り込んでいく感覚に感じ入った。
「く、……ウッ、ディオぉ……ッ!」
「ん、ふ、……ああ、んうううっ」
心地よさに、ジョナサンは涙をこぼした。先ほど言われた通りに泣いてしまったことが、恥ずかしく、ジョナサンはディオの胸に突っ伏したまま顔が上げられなかった。
「はあ、ああッ!」
飲み込まれる。体ごと奪われてしまいそうになって、自分が丸ごと食べられていくような恐れと、肌をひとつに合わせた不思議な悦びにジョナサンは浸った。
自分が自分であることを確かめるように、ジョナサンはディオの背とシーツの間に腕を割り込ませて、ディオの体を抱き締める。
もっと二人の距離が近くなり、さらに深く繋がった。
「ああッ! ンンッ!」
甲高く叫ばれて、ジョナサンは半身を持ち上げた。
「ふうぅ、ううぅッ、んんっ、ううッ……」
歯を食いしばったディオはこれまで以上に、顔や耳や、胸元を真っ赤に染めて、じっとりと汗をかいている。
ジョナサンはその表情だけでたまらなくなって、腰が浮く。
「くふッ、ううッ! んうッ! くあ、うッ!」
自身を引き抜くと、ディオの中の肉がざわつき、しがみついてきた。
深く呼吸をしながら、抜き取った部分をまた差し入れる。
「ああ、ああッ、くうううっ」
流れる涙や、苦痛に耐えて眉間による皺や、震える体が、どんな意味でそうなっているのか、ジョナサンの肉体は知る。
ディオの中に入った肉体の一部は、どくんどくんと、激しく脈を打ち、感知する。
「ディオ、ディオ……ッ、嬉しい?」
腰に絡む足を持って、大きく開かせてシーツにつかせる。繋がって入っている所が、よく見えた。
「ンッ、もっとぉ、ああああぁぁッ!」
「いいの? ……ディオッ!」
抽送が速さを増していく。ジョナサンは快楽を極めようと、急かされる思いでひたすらに腰を振った。
「やッ! ああッ! くううっん、ううっ!」
「ディオッ、ディオッ、ぼく、変だッ、なんか、なんか、出ちゃうよッ!」
「アアッ、だめ、だめっ! ううっ、ああうぅっ!」
ディオの胸に再び額をつけて、揺さぶられる度に視界に入ってくる膨れた赤い実を口にした。
「んっ! ああっ! ヒぅっ!」
吸えば乳でも出てきてくれそうな程に勃った乳首は色付き、ジョナサンの幼心と雄の欲を満たしてくれた。
片乳を舐めて、吸い、十分に固くさせたら、もう片方を吸った。飽きずに交互に吸っては舐めを、繰り返した。
「あふ、ああッ、や、やぁ……くぅッ!」
ディオはかぶりを振った。そして、覚えのある締め付けが、ジョナサンの肉棒にも訪れる。
「んんうぅぅッ!! ひァ、うう〜〜〜〜ッッ!!」
唇を乳首から離して、ディオの悲痛な声をたてる顔を見た。
睫毛は涙で濡れてきらきらと光って、上気した肌には透明な雫が、パールのように散らばっている。
噛み締めていた唇は紅より赤い。――綺麗だ。
それは今まで見てきたディオのどんな姿より、ジョナサンの目には美しく映っていた。
「ディオ、ディオ……ッ、ぼくッ!」
深く挿入した肉棒が、ぎゅうっと絞られて、ジョナサンは、情けのない声を出してしまった。
「んうっ」
自分自身から何かが放出されていくのを感じながら、ジョナサンはディオの体内に居座った。
下半身にずしりとあった重い痛みと苦しさが、ペニス全体から抜けていく。
「はあ……、すごい……」
その何かが体から出て行くまで、ジョナサンは軽く腰を揺すって、快感を促した。
恍惚感があっという間に過ぎ去ってしまう。
「あ……ぼく……ディオのお尻の中に……、」
漏らしてしまったとジョナサンは思って、ペニスを抜き出す。
秘孔はジョナサンの形を残した状態で口をあけていたが、やがてゆっくりと元に戻っていった。
「く、ふ……」
ディオはすでに朦朧として、目を閉じていた。
朧げな意識では、言葉は無い。ただ肉体が反応すれば、喘ぎ声はあがった。
「あ、……何、これ、白いおしっこ……出しちゃった?」
尿とは異なる粘りのある液体が、窄まった穴からどろっと溢れ出てきた。ジョナサンは、自分の陰部とディオの秘孔を見た。未だ逞しくあるジョナサンの自身は、とろみを生み出し続けていた。
「変なの……、でも、……」
ジョナサンは、もう一度ディオの中に入りたいと思った。
触ればくちゅくちゅと粘膜は水音をたてて、更に滑りをよくさせている。
指でディオの秘穴を弄ると、先ほどより緩くなって簡単に一本の指が入っていった。
温かい粘膜は、奥にいくほどきゅうきゅうと指を包んで、侵入を悦んで迎えてくれているようだった。
「ディオ、寝ちゃったの……?」
返事は無い。ジョナサンが足を抱えても、体は無反応だった。
「もう一回……もう一回だけ」
若い猛りは、もう頭を擡げている。
穴に目掛けて、先っぽを押し付けて、ジョナサンはひと思いに貫いた。
「ふッ、あ、あっあっ……」
息が洩れ、ディオの意識のない喘ぎが出る。たとえ、眠っていてもディオの体は敏感にジョナサンの肉で感じてくれていた。
「ごめんなさい、……これで終わりにするから、だから……ディオ、少しの間だけディオの……」
体を頂戴、とジョナサンは許しを乞うた。
「ん、んんっ、ふっ、はぁ、ぁっ」
ディオは、開かれた唇から、甘い吐息と同じくらい可愛く甘い声を出し続けていた。
ジョナサンが、激しく素早く打ち付ければ、声も動きに合わせて短く細かくあがった。
そして、ゆったりと腰を回せば、長いため息と共に切なくいやらしい声が出された。
「はぁ、はぁ、また……っ、出そう……ディオ、出ちゃうっ、出ちゃうよ……ッ」
尻の肉を揉みながら、ジョナサンはがむしゃらにディオの最奥を突いた。
「ふうっ、うっ……、んっ、はあっ……」
放たれる瞬間、ジョナサンはきつくディオの体を抱いて、奥の奥まで届けようと腰をぴったりと合わせて、頂点を極めた。
「うう、はぁー……っ」
そして、ジョナサンは、立て続けに二度も射精した所為と、慣れない行為で一気に疲労が襲い、そのままディオの胸の上に崩れ落ちた。
ふっくらとした胸板は正しく心音を奏でていて、ジョナサンはその音を子守唄に眠りの世界へ旅立った。