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青年期JDと少年期JD

  • 2016/02/06 00:48

途中までだけどブログに上げちゃう!

所謂ピーピングトムもの!

 

 

青年期JDと少年期JDが同時に存在している亜空間BL

 

青年期JD→できてる

少年期JD→まだできてない

 

 

「何やってるの、ディオ」

 いつ頃からか、ジョナサンとディオには個室が与えられ、それまで双子のように育ってきた二人は別々の寝所で過ごすようになっていた。

 始め、独り寝に慣れなかったジョナサンはめそめそと枕を濡らしたものだが、早々に慣れたディオは「大人なら一人で寝るのが当たり前だ」と言うので、ジョナサンはいつまでも泣いている自分が恥ずかしくなった。

 しかし、大人こそ”誰か”と一緒に寝ているようだ。実際、父と母はそうであったし、年の離れた兄弟……のジョナサン兄とディオ兄の寝室は二人でひとつだ。

「そこは兄さん達の部屋だろ」

 ここでの”兄”というのは、二十歳のジョナサンとディオのことであった。何故、同一人物がそれぞれ二人ずつ存在しているかという疑問は、持たない方が賢明だ。

 

「まだ帰ってきてないんだ」

「今晩は遅くなるって言ってたじゃあないか」

 扉の前で室内を窺っていたディオが、持ち主の不在を知るとなると、堂々と侵入して行った。ジョナサンはそっと扉の前で、ディオの行動を見守る。

 部屋を見回すと、ディオはキングサイズのベッドに腰をかけた。自分たちの寝台の何倍もある。座ると、マットはふんわりとしていて腰が沈んだ。

「あ、駄目だよ。叱られちゃう」

「ふん、どうせまだ帰ってこないんだ。ジョジョ、おまえも来いよ」

 ディオは悪戯な笑みを向けてジョナサンを手招き誘った。確かに、兄たちの部屋は興味深いもので溢れているし、内緒で訪れるスリルもあった。もし知られたとしたら、ジョナサン兄はやんわりと窘める程度だろうが、ディオ兄はきっと二人をきつく叱りつけるだろう。

「見ろよ。ほら、ベッドサイドの引き出しに高そうな酒を隠してるぜ。しかも飲みかけだ」

「ほんとだ。夜、二人で飲んでるのかな?」

「きっと使用人棟からくすねてきたんだぜ。執事が知ったら泣くな」

 ディオは瓶を揺らして、中で波打つ琥珀色のアルコールを明かりに透かせた。そして蓋を開けて、棚に仕舞ってあるグラスに注ぐ。

「ディオ……飲むの?」

「味見だけさ」

 グラスの底が埋まる程度に入れ、ディオは舌に酒をつける。口の中にしばらく転がした後、何故か不可解な表情を浮かべて、瓶を元の場所に戻した。

「美味しい?」

「ん」

 一口分が残ったグラスを渡されて、ジョナサンはまず匂いを嗅いだ。強烈な酒気が鼻をつく。相当強い酒のようだ。

「うわあ……」

 息を止めながら、一気に喉に流し込むと、カッと頭の芯までが熱くなった。

「うう~」

 思わず目を瞑ってしまう。良し悪しの判断がつかない。美味いのか不味いのかさっぱり分からなかった。

「こんなもの飲んでるのか、あの人達は」

「お水ないかなあ……?」

 ジョナサンは舌に残った味を消したそうに口をもごもごとさせた。

「ずるいよな」

「ん?」

 ジョナサンが口元をシャツの袖で拭っていると、ディオはベッドに横になって言った。

「自分たちはこんな広い寝床なんて。おれたちの使ってるベッドの三倍はあるんじゃあないか?」

 そのままディオはベッドの端から端まで、転がっていく。

「だって、体も大きいもん。それに二人だし」

「大人のくせに、男が二人で寝てるのが変だって思わないのか!?」

「仲良しだからじゃあないの?」

 ジョナサンは率直に答えた。

「……おまえ、それ意味分かってるのか?」

「え?」

 ディオが腹ばいになったまま起き上がる。ジョナサンはこれと言って深い意味も持たずに発言していた。

「ガキ」

 ディオがジョナサンの頬を突き、小馬鹿にしたように言った。

「う、え……ちょっと……やめてよ」

「お子様、アホ、マヌケ」

 続けてディオは次々にジョナサンを責める。柔らかい頬を何度も突かれてジョナサンはついに寝台の上に転がった。

「本当に本当に知らないのかい? ここで二人が何をしてるのかって」

「へ……ここで? 寝室は眠るための場所だろ?」

「バーカッ!!」

 盛大にジョナサンは罵倒された。

 

 丁度その頃、邸の正門が開かれ、馬車が近づいてくる車輪の音がしていた。

 ディオは耳聡くその音を察知し、寝台から起き上がって、窓の外を見下ろす。

「帰ってきたな」

「もう二時過ぎになるなあ、ぼくもじゃあ部屋に戻ろうかな……」

 ジョナサンはあくびをして、立ち上がった。ディオは冴えた目つきのままでジョナサンの腕を取る。

「ん? 何? トイレなら一人で行ってね」

「違う! こっちに来い」

「ディオ、寝ぼけてるの? 扉はそこじゃあないよ~、そこはクローゼットの……」

 半分眠ったような、舌っ足らずな口調のジョナサンがふにゃふにゃと注意するものの、ディオは問答無用で押し進んだ。

 外套やガウンが仕舞われているクローゼットの中は案外広く、少年が二人収まっても尚余裕がある。しかし、吊されている特大サイズの服たちは二人の体を密着させるほどに、厚みのあるものばかりだ。

『む……狭いよお……』

『黙れ、静かにしろ』

 兎の毛で作られた襟巻きがジョナサンの鼻先をくすぐる。くしゃみが何回か出た。その度にディオがジョナサンを小突いた。

『そろそろ戻ってくるな。いいか、物音を立てるなよ?』

『うう……何でこんな所に』

 戸の隙間からは、寝台が真ん中に見据える。ディオはクローゼットの中で座り込んでじっと待った。ジョナサンはディオの隣で何度もあくびを繰り返している。

 

 夜中に似つかわしくない男性らの足音が響く。話し声も聞こえてきた。

「ああ、疲れた!」

「……ッたく、足が棒になりそうだ!」

「もう当分、ダンスはしたくない……」

「だから嫌だったんだ! いくら父さんの顔を立てるためだって言っても」

「ディオはいいじゃあないか、ぼくなんてお年を召したご夫人ばかり相手にしてたよ」

「若けりゃいいってもんじゃあないぜ。あの小娘ども、隙あれば二人きりになろうとして、躱すのにどれだけ気を遣った事か!」

 

『……今日、舞踏会だったんだ』

 ジョナサンが小声でディオに話しかける。

『そうみたいだな』

『でも早かったね。ダンスパーティーって朝までやってるって聞いたけど』

『早めに帰ってきたんだろ。あんまり楽しくなかったようだな』

『ふうん』

 ジョナサンは目を細めて、服を脱ぎ散らかしていく二人を眺めていた。

 兄たちは、幼い兄弟の見本となるよう、常に紳士的であり模範的な行動を見せてきていた。その二人がプライベートな空間で見せる姿は、自分たちと何ら変わりなく、親近感を覚えた。

 

「……ジョジョ、出かける前に飲んだか? グラスが出しっぱなしだ」

「え? いいや。もしそうだとしても、メイドが片付ける筈だし」

「そうだな」

 瓶は仕舞ったが、使ったグラスをそのまま棚の上に置いてしまっていた。ディオは隣のジョナサンを無言で睨んだ。

『あ、戻すの忘れてた』

『このマヌケ』

 ディオはジョナサンの耳朶を引っ張って責めた。お得意の責めにはもうジョナサンはすっかり慣れてしまったので、平然と受ける。これくらいの痛みにはどうともない。ディオに鍛えられてしまったのだ。

 

「まあ、いいさ。悪戯ネズミでも忍び込んだんだろうなァ」

「ネズミ? ネズミは嫌だなあー……病気持ってるし」

 ジョナサンは酔っ払っているのか、喩えが通じない。

「我が家の可愛らしい二人の小さな王子様のことさ」

「ん、ああ……そういう……」

 ジョナサンが、ベッドの端に座ると、ディオは向かい合わせになって膝の上に跨いだ。

『あ、ほらね。仲良しだろ。ああいうの、紳士淑女の間で流行ってるって聞いたことあるよ』

『そのくらい知ってるさ』

 要はその先なのだ。

 ジョナサンとディオのいるクローゼットからは、ディオ兄の後頭部が見えており、ジョナサン兄の顔は分からない。

 ただ、何かしらの意味を含んだジョナサンの手が、指がディオの背から腰にかけて滑り落ちていく。

 会話が途切れ、ディオの頭が角度を僅かに変えて奥へ進む。何度か角度が変わった。それに合わせてジョナサンの指が背中を上下に摩っている。

 

『……何してんのかな』

『さあな』

 妙な沈黙に流石のジョナサンも理解しかけたようで、落ち着かなく何度も座り直している。

「ン……ジョジョ……ッ!」

 部屋中に響く艶めいた声色に、空気が一変した。途端に、ジョナサンとディオの背筋が伸びた。

 今までの、ジョナサンとディオのよく知った大人達の昼間の姿から、夜のいかがわしい淫靡な様相へと移り変わった。

 子ども達には刺激の強すぎる、先ほどの酒のような匂いが漂ってきそうだ。

 

『え……何で? ねえ、何で?』

 怯えたジョナサンが震える手でディオの袖を摘まんだ。

『し、知るか……静かにしてろよ、ばれるだろ』

 兄は、兄達であり、自分達と同じように双子みたいに揃って育てられてきたはずだと、ジョナサンは疑いもせず信じ込んで十三年間生きてきた。(実際、兄達は、もっと複雑な生い立ちをしているのだが、幼い義兄弟は知る由もない)

 何故、彼らが恋人まがいな行為をしているのか、脳の処理が追いつかない。口づけをしているという事実でさえ、こんなにもジョナサンの未熟な精神をかき乱すというのに、これから行われる現実を受け止めきれるだろうか。

『そっか、お酒飲んできてるから、だよね……? あれって酔っ払ってるから、変なことしちゃうんだよね、ね?』

 性知識や色恋沙汰に関して疎いジョナサンにでも、同性同士が口づけることが、世間一般では異常と見なされる行為だということを承知している。ましてや、一番身近な存在である二人が同性愛者だなんて、思いもしないのだった。

『そうか……? もっとちゃんと見てみろ』

 ディオは勘が良い子どもであったし、ジョナサンよりも理解のある性格だった。間違いだとか、正しいだとか、そういうことが大事ではないと知っている。

「ディオ……ディオ……ッ!」

 切なく呼ぶ声に応えるようにディオはジョナサンに覆い被さった。クローゼットからは、二人の足先だけが覗く。

『見たか?』

『……うん』

『あれが酔っている男の顔だったか?』

『ううん』

『じゃあ、どんな顔だったか分かるか、ジョジョ』

『……すごく好きなんだなぁって、……思った』

『そうだろ? そういう関係なんだよ、あの二人はさ』

『ディオ、いつから知ってたの? 何でぼくに教えてくれなかったの?』

『知ってたというか、ただ気づいてただけさ。今のを見て、確証が持てただけだ。おまえは多分、言われなかったらずっと知らないままだったろうな』

『でもずるいよ……ぼくだって家族なのに』

 俯いたジョナサンがむくれた様に頬を歪ませた。ディオは寄り添って肩を近づけ、手を握ってやった。

 

「あ……はァー……ッ!」

 耳を劈くほどの啼き声が脳天を貫く。紛れもなくディオの声なのだが、聞いたこともない高い音と色を出していて、二人は戸惑ってしまう。

 絡み合っていくうちに、寝台の上の二人はいつの間にか生まれたままの姿になっていた。同じ白人でも、日焼けや元の肌質の違いから、ディオの肌が透けるほどに白かった。ジョナサンは太陽の恵みを一身に受けたように、赤みがかった健康的な肌色をしている。

 ジョナサンは膝を抱えて小さく座った。腰のあたりがむず痒くなる。以前、ジョナサン兄から聞いたのは、ディオの今の声は声変わりする前のディオ兄と同じだったと聞いた。

 確かに高音のあの声は、似ている。それを思い出すと、隣にいるディオがあのいやらしい声を出しているような気になってしまって、ジョナサンはそわそわした。鼓動が早まる。

「あー……ッ、あっ、あっ……ッ! ジョ、ジョォ……」

 声が大きい。これでは邸中に知られてしまうのではないか。ジョナサンは要らぬ心配ばかりしてしまう。

 今の今まで、こんな行為が行われていようとも、ぐっすり眠りこけていた自分が何を言うかと、笑われてしまうだろうが、それほどにディオの嬌声は部屋に充満していた。

 ディオ兄は、ジョナサンのことを「ジョジョ」とは呼ばない。どうしてかと質問した時、「おれのジョジョはあいつだけだからな」と答えた。指が差した方向にはジョナサン兄がいた。

 そして、ディオもまた、ジョナサン兄のことは「ジョナサン」としか呼ばない。恐らく、理由はディオ兄と同じなのだろう。ならディオにとって、自分が、自分だけがディオの「ジョジョ」なのだ。

 ディオ兄があのように甘く切なく、ジョジョと呼ぶ。もし、自分がディオにあんな風に呼ばれたら……――ジョナサンはディオ兄の声にディオの声を重ねて、同調していた。

 好きになるに決まっている。好きになってしまうだろう。それだけ、心臓を打ち抜く強さがあの声にはある。

「ジョ、ジョォ……あっ、やあ……っ、ひっ、だめ、そんな……ッそんなの……ッ!」

『……あ』

 黙っていたディオが、不安げに声を漏らした。瞳が潤んでいる。ジョナサンは恐る恐る隙間を覗いた。

 

 両足を拡げているディオが、涙を濡らしながら首を振る。

 足の付け根にはジョナサンの頭が埋まっている。上下、左右に、細かく頭が動く。

「うう……ッいや、あ……!」

 背が浮いてディオが苦しげに悲鳴を上げる。びくりびくりと、上半身がバウンドするが、下半身はがっちりとジョナサンの腕によって固められている。

 逃げようと腕がもがいて、シーツをめちゃくちゃにかき集めて、爪を立てる。

 少年等の目には、ディオが拷問をうけているように映っていた。

 汗をかき、肌を真っ赤に染め上げ、堪えきれないと声を上げる。淫らに手足は暴れ、息を上げる。もうやめてあげて欲しい。ジョナサンは空いた片手を拳にしていた。ディオも口元をおさえて、眉間に皺を寄せている。

「ううっ、うううっーッ! んん、んッ!」

 ディオの股から一度も顔を上げずに、ジョナサンはひたすら手指や舌を動かしているようだ。二人からは何をしているか分からない。ディオの声にかき消されていた粘った水音が、絶え間なく続いているのが、ようやく二人の耳に届いた。

 ねち、にち、と素早く指が動かされている音がする。指の速さに合わせて、ディオの身が跳ね、声が出る。

「あぐ……んっ! ンンッ……うう……いや……嫌だぁッ! もう、もうっ!」

「まだ駄目だよ……今日は一緒じゃなきゃ、だーめ」

 ようやくディオの股から顔を上げたジョナサンが笑顔で舌を出す。いつも通りのトーンの声で、意地悪げな「ジョナサン兄らしからぬ」言動をする。それが幼い兄弟には一番の驚きであった。

 手にしたディオのペニスは真っ赤に腫れ上がって、先端は腹に付き反り返っている。涎れなのか、淫汁なのか、明かりに照らされてぬるぬると光っている。

『うわあ、大人のちんちんだ』

『何か、痛そうだな……』

 大人の裸は何度か目にしたことはあっても、完全にエレクトした性器を見るのは二人とも初めてだった。自分たちのものとは色、形が違う。少し遠いが、それでも異常な赤みをしているのが分かる。血液が溜まっているような色味をしている。

「あー……ッあー、もう、もう、離せぇ……ッ!」

「まだそんなこと言えるくらいなら、余裕あるんだね。ふふ、もっと頭おかしくさせてあげるよ」

「あっ、ジョジョ! うっんん……だ、あ……ッ! 指……ッィ」

 後孔に深く入れ込んでいた指が、ぐるりと回された。それからまた反対方向へ回り、抉られる。ディオは首をシーツに押し付けて、唇を噛む。

「出さなくても、気持ちよくなれるんだから良いじゃあないか……ほら、力まないで、ぼくの指、感じるだろ?」

「うっ、ううっ」

 ジョナサンは左手を決して緩めずに、ひたすらに右手の指で孔をほじくる。

 まるで玩具のように扱われる青年の肢体は、壊れてしまいそうなほどに、震え、脱力し、そして痙攣する。

『……何か、怖い』

 ジョナサンは握られていたディオの手を強く握り返した。

『ふん、ジョジョは臆病だな』

 横目でジョナサンを確かめると、ディオは冷静を装ってまた前を向いた。

『でも、ディオだって震えてるじゃあないか』

『……ッこれは……!』

 握られた手から感じた恐怖心を指摘されると、ディオは腕を抜いた。

『あ、声。静かにしなきゃ、ディオ……』

 しい、とジョナサンは指を唇にあて、宥めるようにディオを落ち着かせる。弟にするような仕草をされて、ディオは不機嫌になった。

 繋いでいた手を離せば、ディオは両手で膝を抱えた。

 

「はぁー……あ……」

 ディオをうつ伏せにさせ、後ろに座ったジョナサンが腰を高く持ち上げた。

 まだペニスを持った手は離されていない。ディオの表情は虚ろで、目は空を泳いでいる。

「ディオ、大丈夫?」

「あ……もう、ジョジョ……はやくぅ……」

 ディオは急かすようにジョナサンに訴えている。飢えた獣の吐息をさせて、肩を上げ下げする。

「うん。大人しくして……そう、良い子だね」

「あ……あっ、あっ、あっ、ああっ」

 ディオの顔がクローゼットの正面にある。恐ろしいほどに整ったディオの顔が、ジョナサンの身が沈んでいく毎に歪んでいくのが見て取れた。

 下がりきった眉に、深い皺が寄る。引きつった頬が赤く染まり、食いしばった歯がふくよかな唇の間から覗いている。

 生え際から流れ落ちる汗は顎まで伝い、シーツの上にたれ落ちた。

「く……ッふ……ン、ディオ……いいかい?」

 ジョナサンの大きな胴体がディオの背を隠す。伸し掛かったついでに、ディオの耳元で囁いて問う。

「んうー……ううっ、くっ、はや、く……ッ」

「ふ、全部入れても、ちっとも堪えてないみたいだね。もうぼくのなんか慣れちゃった?」

 鋭く腰が動かされる。強烈な衝撃がディオの腹を突き上げる。ディオの前髪が跳ねる。

「ぐう……ッ! ん……くっう……あッ! ヒッ」

 瞳が見開かれ、ディオは寝台に崩れ落ちる。脱力した腕が無意識に先に伸びて逃げるように惑う。

「ぼくから離れたいの? それとも逃げたいの?」

 ディオの髪を片手で掴んで、ジョナサンはシーツの上に押さえつける。

 暴力、だと二人は思った。知らぬうちに再び手を繋ぎ、身を寄せ合った。

『ねえ……どうしよう? あのままでいいのかな?』

『……ぼくが知るかよ。やばくなったら、止める……か』

『うん……』

 言い終わると、返事の代わりにディオは手を強く握った。

 

「あっく……あーっ! んっふ……ッあっ、あ」

 抽送が始まり、ディオの総身は揺さぶられた。刺された杭から逃れられるはずもなく、それでも無様にシーツの波間で溺れている。

 乱れ汚れた顔と汗に濡れた肌が、滑稽なまでに悲しく、美しかった。

 骨が軋む音が鳴る。ぐちぐちと粘膜が擦れ合う響きと、男たちの荒い呼吸が交互に聞こえてくる。

 クローゼットの中で二人は瞬きも息も忘れて見入っていた。

 恐ろしいと思うと同時に、未知の興奮を覚えていた。生まれたての発情が、体内で今にも爆発しそうになっている。

 握った手から汗が滴る。気持ち悪いのだが、絡んだ指が湿っていて離れない。

「はっ! あっう! し、死ぬ……ゥ!」

 ディオの絶叫に二人は意識を向ける。ジョナサン兄に罪を犯させるわけにはいかない。戸を開こうと手をかける瞬間、貫かれたままのディオが体を反転させた。

「あ、好き、好きィ、ジョジョ! すきだ、すきぃぃ……ィッ! あーっ、嫌、もう、やだ……ッ! 死ぬ、死ぬッ、殺せええッ!!」

「ぼくも好きだよ、ディオッ……! 好きだ……好きだよ……して、キスして、ぼくに……ッ!」

 更に体を屈めたジョナサンがディオの顔に自身の顔を近づけていく。ディオが力をなくした腕でジョナサンの首に回すと、唇を奪った。

「んっ、ふ……んっ、ん!」

「あ……ディオ……ディオ……ッ!」

 舌を伸ばし合って、唇を吸いつかせたり、噛みつくように貪りあったりして、長い口づけを繰り返す。

『今、殺せって言ったよね……?』

『好きだとも言ったな』

 理解不能だという表情をお互いに浮かべながら、ジョナサンとディオは寝台の上で戯れる大人達と隣の子供を交互に見返す。

『放っておいていい気がする』

『ぼくもそう思う』

 ジョナサンとディオが考えを一致させるまで、その間もずっと大人達は飽きる気配もなく、唇を合わせ続けている。

『心配して損したな』

『うん』

 目には見えないハートの結晶が寝台から飛び立っていくようだ。甘ったるいムードがクローゼットの中にまで侵入してきて、二人はその熱に汚染されつつあった。

『あのさ……ディオ』

『何だ』

『何かぼく、さっきから変な気分なんだけど』

 未だに寝台の上でまぐわっている二人は、互いの名を呼び合っては唇を合わせ、行為に夢中になっている。

『気のせいだ』

『いや、でも』

 ディオはジョナサンの言葉に被せるようにして言い放つ。ジョナサンの意を否定する腹積もりなのだった。

『いいから、気のせいにしておけ』

 語気強く言われると、ジョナサンは黙り込むしかなかった。

 ただ、少しだけ期待が残ってしまうのは、繋がれた手が原因だった。もし、わずかでも不快感があるのなら、このディオという人物はいつまでも触れていてくれるわけがない。

 

「ああああああ゛ッーーッ!!」

 ディオの悲鳴に二人は身を硬直させた。弛緩しきった肉体はシーツの上で溶けて、もう原型を留めていない。崩れ落ちた身を支えるのはジョナサンの腕だけだ。

 続いてジョナサンが、息を全て吐き切り、ディオの背中に落ちた。後に、起き上がり、ディオの白い背中に唇を触れさせる。

「ふう……、ディオ?」

「ン……あ……ジョ、ジョ……」

「うん、頑張ったね。よしよし。ディオは凄いね……ぼくよりもずっと我慢強くて、偉いなあ……」

 ディオの体を仰向けに転がし、ジョナサンは仕上げとばかりに、性器を撫でる。半濁したぬるみ液がだらだらとディオの下腹部を濡らした。勢いを失った汁がジョナサンの掌を濡らす。

「は……ッあ……ん……」

「ほら」

 愛撫を施した手をそのまま口元に運び、ジョナサンは出された体液を舐めとり、その濡れた唇をディオの口へと近づける。

『あっ』

 二人はほとんど同時に声を漏らす。

 汚らわしいと思うよりも、先に神聖さを感じた。契の儀式のようだとディオは思った。

『どんな味なのかな?』

 ジョナサン呟いた。

『美味くはないだろ』

『そうかな?』

 人の味は禁忌の美味だろうと、本で読んだことがある。美しい人間なら、より良い味なのかもしれない。ディオやジョナサンのような、男ならさぞ美味いに違いない。

 ジョナサンは隣にいる少年のディオの味を想像した。甘いような、酸っぱいような、強い芳香を放つ果実のような味だろうと思う。

 

「さて……」

 ジョナサンはディオに毛布をかけると、ベッドサイドの棚から酒瓶を取り出し、出しっぱなしのグラスに注いだ。

 一口飲み、グラスを置くと、裸のままでクローゼットへ向かった。

『……まずい……ガウンを出すつもりだ』

『えっ……どうしよう!?』

 着実に近づいてくるジョナサンの姿が目の前にあるが、二人は狼狽えるばかりで、逃げることすら出来ない。戸を開かれたら、どう言い訳しようとも無駄だ。

 息を殺そうが、気配を消そうが、成す術はもう見つからない。

『ディオ……ッ!』

『もう言い訳を考えるだけだ……』

 ジョナサンはクローゼットの扉に両手をかけ、ゆっくりと開いた。

「やあ、夜更かしの王子様たち?」

 いつも通りの兄の笑みをして、ジョナサンは二人に声をかけた。

「あ……こんばんは、ジョナサン兄さん」

「あ、アハハ、やだなあ、ぼくたち寝ぼけてこんな所に来ちゃったのかなあ……アハハ」

 二人は引きつった笑顔で兄に挨拶したが、目線は兄の顔より下方へ行く。強靭な肉体に似つかわしいモノが、ぶらさがっている。萎えていても、その存在感が凄まじい。普段服の下に仕舞われている、男の証は、女だろうが男だろうが羨望の眼差しを向けられるに違いない。

 しかし、幼い兄弟にとって、先ほどのディオ兄の様子を知っているだけに、恐怖の対象でしかない。あんなものが入っていたのか……ディオ兄もよく平気だな……。

「ぼくは途中から気づいたけど、ディオは最初から分かってたみたいだよ?」

「あ、あはは……」

「えへへ……へへ……」

 最早笑うしかない。そっとクローゼットから足を下ろすが、目の前に壁になった兄は一向にどいてはくれない。

「興味ある年頃なのは分かるけどね、覗きはよくないよ? それと、ぼくたちに言うことがあるよね?」

「ご……ごめんなさい」

「ごめんなさい! ジョナサン兄さん……ッ!」

 二人とも泣きそうになっていた。無防備な男は全てをさらけ出しているからこそ、無敵に思える。むしろ全裸だからその強さがひしひしと伝わってくる。

「うん。もう夜が明けるね、部屋にお戻り……お説教はディオが起きたら、たっぷりしてもらうからね」

「はぁい……」

「はい……」

 ガウンを取り着こむと、ジョナサンは二人を部屋から出した。

 

 暗がりの廊下をとぼとぼを歩きながら、二人は隣同士にあるそれぞれの自室に着く。

「ディオ、……手」

 繋いでいたのを忘れていたのか、気が付いたディオは振り払うように素早く離した。

「あっ、暑苦しい!」

「え? あ、ごめん」

 あとはもドアを開いて、部屋に帰ればいいだけなのだが、お互いに頃合いを失って、動けないでいた。

「あの、あのね、ディオ」

「何だよ……」

 ジョナサンはディオの袖を引いて、下から視線を送った。身長は殆ど同じなのだが、ディオはいつも顎を上げてジョナサンを見下ろすようにしている。(そして反対にジョナサンはディオを上目使いにして見上げる癖がついている)

「ぼく、何か、一人で部屋に戻るの、嫌で……もしディオさえ良ければ、ぼくの部屋来てくれる?」

「ハッ、もう十三だっていうのに、一人で寝れないっていうのかい?」

 ディオは腕を組んで鼻で笑ってやった。

「し、仕方ないなあ……! おまえがどうしてもって言うなら……!」

 頼まれたのだから、渋々了承してやっているんだ、という態度でディオはジョナサンの部屋へ入っていく。

「あとさ、あの、ぼく……何か、さっきの兄さんたちの、見てたらさ……」

「は……?」

 ジョナサンは寝間着の裾を両手で持ち、そろりと捲り上げる。下着のシャツの中で、股の間が膨らんでいる。

「ひっ……!? な、なんだそれはッ!」

「ディオがよければ、ぼくもさっきみたいな……」

 すっかり熱気にあてられてしまったジョナサンはふらふらとディオのそばへ体ごと倒れてきて、そのまま腕の中へしまい込む。

「うっうわ! 寄るな! しないぞ、ぼくは!」

「でも、ディオも変な気分になってない? ならないの?」

 正常ではない目つきをしたジョナサンの顔を平手で打ち、腹を膝で蹴るのだが、体重に任せてディオを押し倒そうとしてくるばかりだった。

「なるかっ、うわっ! やだ! ぼくは、あんな風になるのは、嫌だからな! しないしないしないッ!!」

 ジョナサンはディオの発言に動きを止めた。

「え? あんな風って……」

「は……? だから、ディオ兄にしてるようなこと、するつもりなんだろ……?」

「ぼく、そこまで言ってない……。ディオ、あんなことされると思ってたの……え? されたい……の?」

 ジョナサンは、熱情の吐き出し口を求めているだけで、兄たちと同じ行いまでするつもりはなかった。

 だがディオは、てっきり兄たちの行為をそのままするものだと思い込んでいた。

 ジョナサンはディオの言動で、リアルに自分たちであの行為を想像してしまって、赤面した。

「ち、違ーーうーーッ!! おまえの勘違いだッ! いいか、言ってないからな! ぼくはそんなこと、一切言ってないし、思ってもない! ジョジョのアホぅ!!」

「えっでも、だって、今のディオの言い方って、ディオ兄のことを……」

「違うったら、違う! 馬鹿野郎! もういいっ、帰るッ!」

「待ってよ、ディオッ!」

 扉の前で揉めていると、ふいにノック音が背後に聞こえた。

「二人とも? ぼくらの部屋まで聞こえてるよ」

 すっかり寝支度を整えたジョナサン兄が、呆れた顔でドアの前に立っている。

「「……ごめんなさい……」」

「いいから今日はもう大人しく寝なさい。いいかい? すぐ寝るんだよ? じゃあ、おやすみ」

「おやすみなさい」

 扉が閉められてしまったので、会話の流れのままディオはジョナサンの部屋で寝る羽目になってしまった。

 

「寝ようか……」

「ああ」

 兄弟の部屋にある一人用のベッドでも、少年二人くらいなら問題なく眠れる。むしろ、広いくらいなのだ。兄たちの寝台が規格外すぎるだけだ。

 両側から布団に入り、それぞれが左右を向いて横寝になった。

 ジョナサンは普段なら、目を閉じれば数秒で夢の世界に旅立てる。だが、一度興奮してしまった体と頭はなかなか鎮まってくれない。

 後ろでディオが身じろぎする音がした。まだ起きているのだろうか。

「ディオ、起きてる?」

「………………」

 返答はないが、寝息は深くない。ジョナサンは振り返ってディオの背中の側へ行く。

「寝てる?」

 やはり返事はない。本当に寝ているのだろうか。ジョナサンはそっと抱き寄せてみた。反応がない。本当にもう寝てしまっているのだ。

 むくむくとジョナさんの中で悪戯心が湧き上がってくる。

「ディオ……?」

 寝間着の裾をそろりとあげていく。ディオの身はぴくりともしない。

 ほっそりとしている太ももが毛布の中にある。ジョナサンは足の間に手を入れてみた。肌のぬくもりと、内ももの柔らかさがある。

「寝ちゃってるの、ディオ……?」

 手がだんだんと上がっていく。このまま手を動かしていけば、付け根まで到達してしまう。

「いいの、ディオ……?」

 間が狭まってくる。ぴったりと指が肉と肉の間に入る。ふっくらとしている感触が手に広がる。

「……いいの、大丈夫……ダメだったら、言ってくれなきゃ、ぼく……」

 ジョナサンは猛りっぱなしの部分を、布越しに差し入れていく。直に触れさせるのは、抵抗があった。そこまでするのは図々しいと思ったのだ。

「ふあ……」

 声が漏れ出る。

 手で包み込むのとはまた違った快感が走った。

「あ……っ」

 ディオが軽く寝返りをうち、足の幅が狭くなる。内腿が締まり、ジョナサンのモノもきゅっと締め付けられた。

「ひえ……!」

 腰をひくと、肉の間に擦られて、より強い感覚が得られた。

「な、なんだろ……これ……」

 ジョナサンは寝間着を腹まで捲り上げて、自身を確かめた。先端が上を向き、じんじんと痺れている。先の穴からじわりと液が染み出た。

 

 

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