練習
- 2016/03/12 02:38
がんばれ地球!
――
「君の目って、怖いな」
「よく言われる」
初めて会った時から、ディオの瞳が苦手だった。その意識は今も変わらない。
責めるような、追い詰めるような、そして射抜くような、鋭い視線でいつも人を真っ直ぐに見つめる。
もし視線が武器であったとしたならば、ジョナサンの身体にはいくつもの穴が開いてしまっているだろう。
腕も腹も、そして何より瞳は攻撃されすぎて、もう頭蓋骨すら貫通しているほどだろう。
それくらい、ディオはジョナサンを見ていた。目をそらさずに、いつだって深い眼差しを送っている。
「そんなにぼくが好きなのかい、ディオ」
あくまで冗談のつもりだった。そう言えば、少しでもこの攻撃が和らいでくれるだろうかと思った。
「いいや、その反対さ」
ディオは手にした本に目線を送ろうともせず、ただひたすらに隣のジョナサンの横顔を視界に留めている。
「敵の動向から目を離すな、決して油断をしてはいけない」
「誰が敵?」
「さあな」
ジョナサンは首を傾けて、覗き込むようにしてディオの顔を捉える。
すると一瞬、目の下の皺が引きつり、ディオは伸ばした前髪で自身の表情を遮らせてしまう。
「ぼくはいつだって……いいや、初めから君の味方だよ」
「違うね、君は絶対に、ぼくの仲間にはなれないのさ」
一対一だ。この思いの決着がつくまで。
――
恋は戦争