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これの続きでっせ
今更感
人たらし童貞ジョナサン×抜けてるメンズ、略してヌケメンのディオ
の、がんばりエッチ編
(キャッチーにカテゴライズすると何てアホな字面なんだろうか)
「(このディオの魅力を以ってすれば、こんな垢抜けない童貞男なんぞ、いちころだッ!)」
……内心、ジョナサンが童貞であることをバカにしつつもその事実にいつも安堵していたディオであった。
彼が誰のものでもなく、彼は誰かをものにもせず、ただ日々を過ごしているのだと実感する度、優越感、安心感がディオのプライドを固くさせた。
そして、それが永遠に続くものなのだとも思い込んでいた。
誰かを愛することなど、ましてや愛し合うことなど、このディオが許すものか。
ディオは、ジョナサンに「たった一人の人」を与えはしなかった。そんな権利など、ディオが持つわけがないのに、ディオはジョナサンを所有しきった気になっていた。
歪んだ感情は、年月と共にディオの中で愛情らしいものに育ってしまった。それを恋だと自覚するよりも、肉体が熟した。
しかし、ハイレベルの女性にモテるということは男性的魅力にあふれているということ。たくましさや、男らしさに優れている。たしかにディオの美貌は、性別を問わず称えられるものだったが、だからといってディオは「女性的」でも「中性的」でもない。
男らしくあるべきだ、男としての素晴らしさが誇りであったはずだった。
だから今も、ディオはジョナサンに対して「男の象徴」を押し付けている。
しかし、互いに反応などない。どちらかといえば、不快さが勝るくらいだった。その気持ちに違いはないとディオは思った。
ジョナサンはきょとんとして、ディオを眺める。何も分からない、意図が掴めないといったところだろう。
「何か、あったのかい?」
ほんの数秒の沈黙の中にディオの些細な戸惑いや迷いを読み取ったジョナサンは、そっと下から覗き込むようにして尋ねた。
本意こそ汲み取れはしなかったが、勘のいいジョナサンはディオが珍しく困っていることを悟った。
「な、何もないから……だろうが!」
「え……えーと……?」
ディオはジョナサンの胸倉をつかんで、にらみ付けた。一見すると怒っているようなのだが、どこか歯がゆそうな切ない表情だった。
「目を見れば分かる……なんて言うけど……君がどうしてこんなことしてるのか、ぼくには分からないよ」
「だ、だから」
「うーん……」
ディオはもう一度、ストレートに欲求を告げようとした。だが、ジョナサンはディオの背を引き寄せると、子どもを落ち着かせるようにして抱きしめた。混乱を解きほぐそうとする手のひらが、心地よいリズムで打たれる。
「な……ッ」
「ぼくにはこんなことくらいしか出来ないけど」
ジョナサンに抱きとめられるのはこれが初めてではなかった。何度も「友愛」または「挨拶」のハグならしてきた。それに先ほども、ディオはジョナサンに抱きしめられていたのだった。
しかし今の状態は、それまでされてきた、してきた、長くても数秒間の「抱き合い」とは違っていた。
圧倒的な、包容力があった。
筋肉量が凄まじいはずのジョナサンの胸板は、意外にもふっくらしていて温かい。両腕に包まれると己の身が小さくすら感じる。
耳元で囁かれる声が、ひどく気分を落ち着かせてくれる。
ディオは今まで知らなかった「親」の愛を、理解したような気分になった。
「う……くっ」
「君がいいっていうまで一晩中だってこうしていてあげるよ……」
こいつはモテないから女性関係が無いんじゃあない。きっと今までだって、おれの知らぬところで誘惑されてきたはずだ。
それを、こいつはこんな風にして相手を抱きしめてしまったんだ。
今みたいな甘い(反吐が出そうな)科白を言い、相手の娘を赤ん坊扱いして、優しく微笑んだんだ。
そうだ、誰に対してもこの男は「聖人」のように接してきたんだ。
こんな男の中に、雄の才能なんてあるのか……?
いや、このディオなら、きっと本能を引き出してやる。してみせる!
――
あれ?
なんぞ???
もうそう、むずかしいねー